side story
□君、奪う…紅の龍(耶羅弥編)
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――千零國・水天帝
「影舜さまぁぁぁっ!!!」
突然と、大きな声が屋敷中に響き渡る。
紅い髪をした女性は、小さい体ながら思いっきり空気を吸う。
もう一回名前を叫ぼうとした瞬間…
「お止め下さい!祖母様…」
口に手を当ててきたのは、孫の旺だった。
「んー…んー…」
「暴れないで下さい」
がっしりと腕で体を掴む旺…
「朝から、賑やかだね。旺ちゃん」
「影舜様…どうにかして下さい。貴方のせいで、耶羅弥様が酸欠で倒れられたら困るんです…」
浅黄色の着物を着けた男性が、楽しそうな視線を向けてきた。
長い髪を肩から垂らしている事から…今、さき方起きたのだろうと把握する。
「朝から耶羅弥の元気な声を聞くと、目覚めがいいんだけど…酸欠で倒れられたら元もこうもない。旺ちゃん、だから離してあげなさい…」
「はいはい」