『血の旋律シリーズ』快楽ニ溺レ〜

□繋がりはココロで…
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僕と黒は『朝顔の間』と書かれている部屋で寛いでいた。
こじんまりしていて、窓から見渡す景色は声に出したいくらいに最高。
テーブルに置かれている急須に手を伸ばし湯呑みにお茶を注ぐ。


「こいゅう風に寛げるの久しぶりだね」


「そうですね…」


二人でお茶を頂く。


「羅淡様に感謝ですね!」


「どうして?」


「翼の声を他人に聴かせずに済んだからです。他人に聴かせるなんて…とても心広くないですからね」


そんな笑顔で吐かれても返事に困るよ。
十分に、心が草原のように広くないのは百も承知だけどさ。
口に出すコトなんて出来ない。後が恐いからね。
黒の心は、どっちかと云うと砦だよ。隙間なく棒が埋め尽くされている。
逃げるの困難な砦…


「ハハハッ…」


苦笑いするしかないね。


「呑気に笑われていても困りますね。ご自分の立場っていうのを解っていますか?!」


「困っているようには見えないよ…」


「いえいえ…こえでも困っているんですよ。今すぐ翼を愛でたいと思っているんですが…どうして後退りしてるんですか?」


「うーん。何でだろうね、アハハ…」


体が“危険”って察知してるせいだね。
でも、まだ昼下がりなんだけとなぁ…
僕…黒に火を付けてしまったかな。
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