『血の旋律シリーズ』快楽ニ溺レ〜

□温泉は性欲の源だ(前編)
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――天神界・朱鳥・旅館通り


緑豊かな風景が映える。
彼方此方に温泉旅館が並ぶ道を羅淡達は、立樺に渡されたパンフレットを頼りに歩いていた。
此処は千零國から離れた都市の一つで、神々が癒しを求めに来る観光名称で有名な『朱鳥』という國だ。


「うわぁー…初めて来た」


「翼は初めてだったな…」


「まだ、幼かった翼を連れて行くのを撓様が反対していましたからね。『朱鳥に行くのは、翼には早いです』っと…」


土産品を見てはしゃぐ翼を眺めながら、世間話をする。


「ねぇねぇ…これ、面白くない?」


「「「…」」」


楽しそうに笑う彼の手に持っている品を見て固まる。翼が手にしている飲み物は間違いなく、精力剤だと思うのだが、商品の名前は口に出したくない。


「栄養ドリンクなのに…『即!夜王ビンビン』なんて名前珍しいですね?」


「翼、それ…」


「買うに決まっているじゃないですか。父様と母様へお土産です…」


『マジ、驚いた』と、翼には聞こえない小さな声で月が呟いた。
一方の黒も半分苦笑いを浮かべる。


「で、これが僕用です…」


「…」


「「…っ」」


ニコニコしながら自分専用と言う品を目にさせれた瞬間、月と黒が後ろに一歩下がる。

何故、思い出さなかったのだろうか。


――…志夜羅の掟を
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