『血の旋律シリーズ』快楽ニ溺レ〜
□プロローグ
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―天界・千零國・椿城・テラス
琥珀色の月が、椿城のテラスに、見てきたけどスポットをあてていた。
「っぁ、んっ…」
「私が、居ない間、どの様に、過ごしていたんですか?」
「ふぁっ…ぁっ、黒ぅぅっ…」
風の音すら、聞こえない静寂な中で、情事をしている二人の影が見える。
映しているといえば、夜空に浮かぶ丸い月だけ。
「翼…もっと、見せて下さい。貴方の顔を」
「ぃじわるぅ…」
「…っ」
一人は、青年だろうか。
整わない呼吸と共に、漏れる甘い嬌声が男を刺激した。したたかな汗が、頬を伝っていく感覚が解った。
ハァハァと、酸素を取り入れる青年の顔を一撫でするなり。
「どうやら…私も限界みたいです」
丁寧な口調で男は吐き、彼の腰を浮かせた。