『血の旋律シリーズ』龍謌ノ音花〜

□花零れ、月謳う…香夜
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―天神界・千零國・椿城・庭


雨が降る庭に用意された椅子に羅淡は身を預けながら、風羅の動作を観察していた。
何処を刺激したのかは知らないが、風羅は恍惚なまでに良い笑顔を浮かべた。四大要素を含め作り上げた龍相手に挑む心は一人前と言うべきか。

口元をつり上げた羅淡は指をパチーンと鳴らす。


「にゃぐっ、母上の鬼ぃぃぃ…」


「ちょっ、璃羅兄様…放置しないでよぉ」


璃羅が『鬼』と言いたくなるのも解る気がする神艸と盈華は息を呑んだ。どんな術を使えば、雷のオンパレードが出来るのか不思議でならない。


「璃羅、逃げてばっかしでは体力消耗するだけだぞ…」


他人事の様に口を開いた羅淡は、逃げ回る璃羅を見て微笑う。
小動物が逃げ回る様にも似ているが、生憎、璃羅は小動物って言う感じではない。
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