『血の旋律シリーズ』龍謌ノ音花〜
□眠りの夢
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――天神界・レイ・氷の洞窟
永年と主が目覚めるのを待っていた。
待って、待って、やっと目を覚ましてくれた。
『契約を切りたい?』
『はい…』
一番最初に報告をしたかった…
『何ゆえに契約を切りたいと申す、阿閠…』
『…言えません』
『ちゃんとした理由を話してくれなければ、契約を切る事は無理だ!』
『言えないんです…』
言えると思っていた。
“愛しい存在が出来た”と。
だから、契約を切りたく存じ上げますって。自らの口で…
大切な主である閠濂様に言えると勘違いしていた。
あれは…
報告でなく、単なる我が儘。
私はただ、閠濂様に迷惑を掛けただけ…
『ごめんなさい、閠濂様っ』
『阿閠…阿閠っ…』