『血の旋律シリーズ』龍謌ノ音花〜
□義理の母親は鬼です。
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【篤霧side】
私は篝が顔を引きつらせたのを見逃さなかった。
璃羅の名前を出せば、効果覿面とは言ったものだ。篝を大人しくさせるのは容易い。
問題は蘭…
聖の甥っ子とはいえ、私は特別視はしない主義。
羅淡は別ですが…
「突然、お邪魔してしまい申し訳ございません。篤霧様…」
羅淡の事を考えていると、何故か璃羅がにっこりとした笑顔で立っていた。
来るなら迎えを寄越したのに、相も変わらず、神出鬼没する。
「此方に…義息子が居ると報告を受けまして…迎えに参りました」
「あ、えっ…璃羅皇……」
「嫌だなぁ…其処は…義母上でしょう?篝様…」
璃羅の声を聞いた篝は私の後ろに隠れる。
「…へぇぇ、貴方様が風羅兄様の見合い相手ね」
歩み寄って来るついでに蘭を凝視。
不適な笑みを浮かべ、顔を近付けた璃羅。