『血の旋律シリーズ』龍謌ノ音花〜

□天の龍神は、南の神子と同類
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――天神界・天龍帝邸・バルコニー


晴天な空が妖しく曇り始めた。
原因は言わずと知れている為、怒りを鎮めに行く必要もない。
椅子に座っている男性はテーブルに置かれてあるお猪口を手にし、口へ運ぶ。


「優雅に傍観か?」


白い長い髪を揺らし、隣に座るギオン。


「自分の親族を窮地に追いやる趣味は変わっていないとは…」


その隣に艸波が座った。


「知らないぞ、啼いて帰って来ても…」


呆れた表情をしたもう一人の人物が椅子を引き、相手の顔を見た。


「…宜しいのですか?こんな事に篤霧様を巻き込んで。バレたら絞め殺されますよ、聖様」


「それを言うなら、月も同じだろう…」


黙っていた男性が口を開き、目の前に座る月へ視線を映した。
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