『血の旋律シリーズ』龍謌ノ音花〜

□双の華
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―天神界・レイ・光皇城・バルコニー


一よりの花弁が、ひらりひらりと舞い落ち、椅子に腰を下ろしている男性の手のひらへ乗った。
何処から迷い込んできたのだろうか、花弁を見つめ、ふっと思う。


「龍神…最後の生き残りが…目を覚ました意を僕は静かに見ている事しか出来ない」


緑玉色の双眸が細まり、彼は手のひらに乗っていた花弁を宙へ浮かせた。
天神界で最も誇れる位に付いたとしても、一國の問題に関われないのが男性の地位である。新たな進化、動きに伴い、命令は下せても深く関わる事は理に反するのを目の当たりにしてきた。

神の世界には八百万の神が存在し、各々達は自分の國を築き上げているのだ。
最高地位だとはいえ、無闇に首を突っ込む事は許されていない。
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