『血の旋律シリーズ』龍謌ノ音花〜
□夕焼け色の太陽に、君染まる…
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―天神界・千零國・椿城・風羅の寝室
ベッドから起き上がった閠濂は、サイドテーブルに置かれてあったコーヒーセットに目が付いた。
用意したのは風羅であろう。
真っ白なコーヒーカップを見れば、直ぐに解る事だ。
自分が朝起きれば最初に口へと運ぶのは決まってコーヒー。以前、彼は好みや温かさについて聞いてきた事があった。
隠す必要もないので教えたが…
好みの濃いさと温かさを一日で完全マスターする実力は驚きだった。
『どうだ?』
上目遣いの瞳は扇情的で、つい欲情してしまう。
「……って、朝からヤバいだろう」
鳴呼、悲しい性にしか過ぎない。
彼の顔を頭に浮かべるだけで体は欲してしまう。
乱して、乱して。
自分の腕に抱かれる彼が紅潮し、喘ぐ姿を想像するだけで全身ゾクゾクする。