『血の旋律シリーズ』紅ク甘イ檻ノ中〜
□傀儡の綾取り
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【末羅side】
父は何かと言えば『緋羅じゃなく、お前が死んでしまえば良かったんだ』と悪態つく。
今更、亡くなった兄に拘るなどお門違いもいいところ。
何が、神楽だ。たかが老い耄れた爺じゃないか。常に人を見下す姿が憎らしい。
母も同じだ…
兄が亡くなったのは俺のせいだと責め立てた。兄が亡くなったのは俺のせいじゃない。
「クソ爺めっ」
家から飛び出してきた。
あんな場所に俺の居場所はない…
『末羅…』
大好きな兄が居た時は平和だったのに…
「神楽なんてクソ喰らえっ!」
「スゴい愚痴だな…」
「えっ!」
「あぁ、すまない。驚かしてしまった」
愚痴溢してると前を遮断するかの様に長身な男性が立っていた。
特徴と云えば白い髪。そして吸い込まれそうなくらいの紫暗な双眸…
「どちら様か知りませが、此処は神楽帝の所有地ですよ…」
「くくくっ、あの神楽帝か…」
透き通る声で喉を鳴らす。