『血籠の結ニ』

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言葉では表現出来ない動揺。
俺が結環を映しても平然とした態度だったからだろう。無暗に焦りを見せ、相手の思うツボに嵌まる趣味はない。
ましてや、付き合っていたとはいえ一定の距離を互いに保っていたにしか過ぎない。
結環は次期快楽の王。俺は次期地獄の王。

其処に本当の愛とやらが生まれる筈もないのだ。


『何で?俺の…事…』


「…ふぅ」


別れを切り出した時の結環は情緒不安定だった。涙で濡れた顔が扇情的で、正直な所…押し倒してやりたい邪な気持ちが勝っていた。


「押し倒さなかっただけ…偉いと褒めてやりたい…」


鳴呼、自分の欲望を鎮められたんだ…

この俺がだぞ?

欲望に忠実で、何ら魔族と嗜好も変わらない次期地獄の王が自分の欲望を鎮められたとか大人になったとしか良い様がない。
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