『血籠の結ニ』

□プロローグ
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――瀧籠國・闇堕邸・桜草の間


「待ちなさい、結環…」


凄い剣幕を浮かべ、桜草の間の襖を力強く開く。結環は座っている男性を一瞥すると、向かい側に居る父親へ視線を向けた。


「父上、どいゆう事か説明下さい!」


「…地獄の王は古き友なのですよ。ですから、親交を大切にしていきたいと思いましてね」


平然と語る父親に結環は不愉快だった。
何故、今になって彼と再会してしまうのか。己自身を憎みたくなった。
彼との関係は当に終わり、二度と逢う事もないものだと思っていたのだ。

そう、今こうして再会するまでは…


「結環、これは結禪様が決めた事。例え…息子でも反発は許されない…」


「…っ」


「ゆ、結環…」


血の繋がった親子だとはいえ、見えない壁が二人を阻んでいた。
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