『血の旋律シリーズ』鎮魂ノ翳リ〜
□紅く散る蝶と、抱く冥の華
2ページ/14ページ
『神楽 玖羅』に関しては、あの二人が断然詳しいのは明確。
旺は、再び黙り込んだ梓威に視線を移した。
「梓威様?」
何やら考え事をしている様子。
「ったく、考え事をするのは構わないが…仕事あるの忘れていないか?」
「多分…忘れていますね」
「黒が言う通りだと思います」
天が呆れた様子で吐く。薔薇庭園に来たのは、寛ぐ為ではなく…あくまで仕事の話をしに来たのである。
流石に耶羅弥だけに押し付けるのは哀れだと思い、天なりの気配りだった。だが、本題に入りたくっても入れない。
梓威が考え事をしている時は、一切の言葉は耳に入れてないからだ。
「はぁ。こうしている時間が勿体無いんだがな…」
すると、旺は席を立つ。
「俺は、任務があるので行きますが…紅霞様がそろそろ来ますよ!」
「…」
紅霞の名前を聞いて、ぴくりっと体が反応した。