『血の旋律シリーズ』龍謌ノ音花〜

□華を燃やすも咲かすも、恋う想いの焔
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―天神界・千炎華國・燈炎帝邸・地下牢


天井からピチャリ、ピチャリと小さな粒が落とされる。
銀色の鎖に繋がれた青年にも見える今は眠っている男性は儚げな雰囲気が漂っていた。


「蘭を拾いに来たけど、一足遅かったかな…」


柔らかな甘いボイスが地下牢に響き渡る。


「彼が…“阿閠”。天龍帝 聖王が恋い焦がれる存在…」


頭に被っていたフードを外すと、綺麗な黒髪が舞った。その容姿は麗しき姫神と瓜二つの顔をした男性。
眠っている阿閠に近づき、彼は『初めまして』と小さな声で呟いた。


「私の名は…光皇帝 都葉輝と言います。今後、永いお付き合いになると思うので挨拶ついでに無粋でマゾな部下を迎えに来ましたんですけど。南の神子が届けたみたいですね…」


切れ長の瞼、男にしては長い睫毛。
桜色に彩る唇にアプリコット色の瞳が特徴。それが、現姫神である光皇帝 聖月の嫡男…都葉輝。
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