□第3章
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「シノン…か…」
あたしは今1人で森の泉近くにきた。
「…………」
ゆっくりと流れる風を感じていたら少し風が歪んだ。
「誰…?」
空から黒い羽が舞い降りてきた。
そしてふわりと地に足をつけた。
「お前…」
あたしは構えた。
何せ目の前にいるのは全身真っ黒。
「あなたは…鴉の王ですよね…?」
「なんで知ってる」
「………」
まさか奴隷時代に仲間の鴉から聞きました。
なんていえない。
「言えないんならそれでいい…名前は?」
「ランです。」
「俺の名前は」
「ネサラですね」
あたしが少し微笑むとネサラは髪をかきあげて、参ったね、と言った。
「ラン…あんたなかなか面白い、気に入った」
今度はネサラが微笑む。
「そういやラン、辺りはもう薄暗いが」
気付かなかった。
見回すと空が暗くなっている。
「帰らないと。じゃあネサラまた今度」
「送ってやるよ俺の背中に乗った方が早い」
「ありがとう」
ネサラは化身してあたしを乗せて空を切った。