□一方的な愛
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手が空を斬った。

派手な音をたてて床に叩き付けられた。

「ネサラ…様」

全くの無表情で次は腹を蹴られる

「うっ…ぐ」

口から涎がたれる。


相手の口端が少しあがったかと思えば喉元を捕まれ顔を近づける。

「シーカー」

「ネ…サラ様…っ」

口を塞がれ舌が侵入してくる。

相手と自分の唾液がまざりくちゅくちゃと音をたてて滴る。

「…愛するが故に殺したくなる…」

「?」

肩に噛みつかれ血が滲む。

「ぁっ…い」

ミシミシと肩の肉が裂けていく。

やっと離してもらえて相手の口端からは自分の血がたれていた。

「殺していいか?」

(嗚呼、破壊衝動がおさまらない。このままネサラ様に殺されるならいっそ…)

今度は自分が噛みついた。
「っシーカー!?」

「俺の方が…ネサラ…様を愛して…います…」

歯に力をこめる。

「ぐああっ!シーカー!はな…せっ」

言葉通り肩から口をはなしつぎは耳を噛む。

「ぁ…くぁ」

思い切りじゃなくて舐めたり甘噛みしたりしてみると相手の呼吸はさらに激しくなった。

「ネサラ…様最高です」

「あっ、はぁ…」

自分の破壊衝動がさらに高まった。
机の上においていた小刀をてにとった。

「シーカーっ」

顔が青ざめていくのがわかった。

「好きですよ。愛しています。大好きです。生きてても死んでても。」

手を一気に相手の胸に押した。

「ぁあああっ!」

相手は最後の力で胸に刺さっている小刀をぬいて俺の胸にさした。

「俺も愛してい…た」

ドチャッと血が地面に溜まりその上には鴉の男が二人死んでいた。


(愛していたさ)

end

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