街の明かりが一斉に消され、大きな音と共に夜空に花が散る。
「ウータイの花火は他のとこのなんかよりずっとすごいだろーっ」
横でユフィがだらだらと自慢話を続けているが、そんなのそっちのけで俺は次々と上がる花火をただ見つめていた。
花火なんて別段珍しくもないが、ある日を境に俺にとっては特別なものになっていた。
「きれーい!
すごい、ね!クラウドっ」
瞳を閉じれば、綺麗な笑顔で花火を見つめるエアリスの姿が瞼の裏に映る。
「わたし、あなたを探してる」
あの時は何のことを言っているのかさっぱり分からなかった。
だが、今なら分かる。
彼女は本当の俺に気付いてくれていたんだ。
必死に言葉を選んで伝えてくれていたというのに───。
ああ、エアリス。
俺はここにいるよ。
もう二度と帰れない日々を、
君への思いを捨てきれずに生きているよ。
会いたくて、
夜空に美しく咲く花火の中にさえ君の姿を探してしまうんだ。
愛しくて、
色とりどりの花火が君の笑顔に見えてしまうんだ。
フィナーレの大きな花火が視界いっぱいに広がる。
眩しくて瞳を細めると、涙がひとつ零れて頬を伝った。