FF7

□ねがい
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どうかあの人が
"ほんとのあなた"を見つけられますように
この先に訪れる平和な未来でも
笑って暮らしていけますように


ただ、この想いをこめて。






○ねがい○






「エアリス!」


聞き慣れた声に呼ばれ、空を見上げていたエアリスは笑顔で振り向いた。
「もう日も暮れたっていうのに、何をやっているんだ?」
そんなエアリスに少し険しい顔でクラウドが駆け寄ってきた。
「あのね、流れ星!見れないかなって」
クラウドの険しい表情などもろともせず、エアリスは笑顔で答える。
「流れ星?」
「そ、流れ星。お願い事、するの」
そう言うとエアリスはまた空を見上げた。
その横顔が何となく悲し気に見えて、クラウドはここ最近思っていたことを口にした。
「何か…感じるのか?」
「え…?」
エアリスは驚いて目を見開いた。
「その…最近あんたの様子が少しおかしいように感じて…古代種の神殿のすぐ側まで来てるだろ?だから…その…」
クラウドはそう言うと口をつぐんだ。

「心配、してくれたんだ?」
エアリスは首を傾けてクラウドの顔を覗き込む。
カッとクラウドは自分の顔が熱くなるのを感じて俯く。
「…クラウドは何かお願い事、ある?」
クラウドは顔を上げた。
エアリスはそんなクラウドの瞳を見つめるとふっと微笑んだ。
「わたしはね、たくさんあるの。でも今日はひとつだけどうしても叶えたいお願い、あって」




──星の声が、聴こえる。
悲鳴が、聴こえる。
うん、分かってる。
わたしがやらなきゃいけないんだよ、ね。
でも、もしやり遂げて帰ってこれたなら…




真っ直ぐに見つめてくるその翡翠色の瞳に、何か言い様のないものを感じたクラウドは思わずエアリスの手を握った。




「もうこんな暗い中一人で出歩くな。次行くときは………俺を呼べ。」
思いがけない言葉にエアリスは驚いた。
「…ボディーガード、だろ?」
耳まで赤くしてそう続けたクラウド。
そんな彼に極上の笑みが向けられた。





──うん、うん、そうだったね。




「あ」
突然クラウドが声を上げた。
「どうしたの?」
「今、流れ星が…」
空を差してクラウドが答える。
「えっずるーい!わたし見てない!!」
ぷぅっとむくれるエアリスを見て吹き出したクラウドは、エアリスの手をひいて歩き出した。
「帰るぞ」
「わたし、見るまで帰らない!」
エアリスはあわててクラウドの手を引っ張るが、敵うわけがない。




「大丈夫」
歩みを進めたまま振り向かずにクラウドが言葉をこぼした。





「あんたの願いが叶いますようにって言っといたから」





「え…」
相変わらず前を向いたまま歩くクラウド。
繋いだ手はとても暖かい。
前を行く、同じように暖かいであろう広い背中が滲んで見えた。





「…ありがとう」







どうかこの人が
"ほんとのあなた"を見つけられますように
この先に訪れる平和な未来でも
笑って暮らしていけますように




…願わくはわたしと一緒に







どうか、かみさま

───この手を離したくないんです。



繋いだ手にそっと力をこめた。



end
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