FF7

□breeze
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風が吹く。
今年も同じ、優しい風が。
胸がざわつくあの風が―――。



「どうして自分は“自分”として生まれて来たのだろう」

きっと誰もが1度は考えることかもしれない。
だけど俺はその疑問からいつも抜け出せないでいた。
“俺”じゃなかったら、
ザックスは死ぬことはなかったかもしれない。
“俺”じゃなかったら、
彼女がいなくなくなることもきっとなかった。
どうして“俺”しかここにいないんだ?
どうして“ふたり”がここにいないんだろう。
澄んだ青空、満点の星空、日を浴びて眩しいくらいに輝く海…それらを見るたびにそう思っていた。
そう、“思っていた”んだ。

いつだったか、この日だけいつもと違った風が吹くことに気がついた。
気のせいかもしれない、妄想かもしれない。
でもそれは、風のように爽やかなあいつに、
風のように優しい彼女に感じたんだ。
俺を優しく撫ぜて去っていくその風が。



自分がずっと嫌いだった。


でも、どんなに自分をひた隠しにしても、
どんなに偽っても、
あのふたりはいとも簡単にそれを破ってしまった。
そして、俺は“俺”でいて良いと教えてくれたんだ。



―――そよ風が優しく俺を包んだ。



「どうして俺は“俺”なんだろう」

そんな疑問に、きっとお前なら
“なーに言ってんだ!クラウドはクラウドだから良いんじゃんか!”
きっと君なら、
“そんなこと言わないの!「クラウド」に出会えて、わたしは嬉しい”

そんな風に言ってくれるって思ってもいいかな?
完全なる自惚れかもしれないけど―――

(そう、思わせてもらうよ)

見上げた先には雲ひとつない青空。
きっと今夜は満点の星空が見られるだろう。

これからも、俺は“俺”として生きていく。

20110811 mai
20110814 加筆修正
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Happy Birthday to CLOUD!!
Everybody loves you!

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