FF7

□Then, she and he are...
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『うん、俺は…独りじゃない』





「良かった…
ね、ザックス」

「そうだなぁ、俺もこれで一安心だ」

先程、教会から光の中へ消えていったエアリスとザックスは空の彼方から教会を見下ろしていた。







○Then,she and he are..






「みんな笑ってる、ね」
楽しそうににエアリスは微笑む。
「エアリスのお陰だろ」
「ううん、わたし、じゃなくてみんなのおかげ。
みんなが挫けないで頑張ってくれたから、だよ」
慈しむような眼差しでエアリスは教会を、皆を見つめていた。
「あんたらしいや」
そう言ってザックスはニッと笑った。




エアリスは改めて教会を見下ろした。
クラウドやティファ、大切な仲間たちとエッジの皆が歓喜の声をあげ、笑っている。
エアリスはほうっと感嘆の息を吐いた。

「ね、ザックス
さっき、クラウド笑った、ね」

「あいつ、笑うと可愛いんだよなあ」

「ふふっ同感!」

「ま、俺も負けてないけどね」

「う〜ん」

「ひでーや!そこは肯定するとこだろ」

「ごめんごめん」

その不思議な空間にふたりの楽しそうな笑い声が響く。
ふとザックスはクラウドに視線を落とした。
それにつられてエアリスも同じようにクラウドを見やる。
泉の中心でこどもたちに囲まれているクラウドは、穏やかな表情を浮かべていた。

「うん、ほんと、良かった」
自分に言い聞かせるようにエアリスは呟いた。
「寂しい?」
そんな彼女にザックスは優しく尋ねる。
「ちょっとだけ、ね…
でも、だいじょぶ」
そう言うと、エアリスは柔らかな微笑みを浮かべた。

「これからどうするんだ?」
そういえば、と思いついたようにザックスは聞いた。
「脅威がなくなって、やっと平和になった世界、見てまわろうと思って」
うーんと伸びをしてエアリスは立ち上がる。

特別意志が強い者はライフストリームの中でも意識が保てるということなのか、ザックスとエアリスは星に還った後も自由にそこから抜け出せていた。

「じゃ、俺もー!
エアリスを惚れ直させるっていう大仕事が残ってるしなっ」
ニッとザックスは笑ってウィンクした。
「もう、わたしにはクラウドだけ、だよ」
そんなザックスにイタズラっぽい笑顔を向けて、エアリスは答えた。
「ちぇっまぁ分かってるけどさー何か悔しいよなあ」
そう言ってザックスは不貞腐れる。
「そう言わない!ね?」
エアリスはからかうようにザックスの肩をぽんっと叩いた。
「…ま、他でもないお前だし、認めないわけにはいかないか」
うん、とザックスはクラウドを見つめながら何かを懐かしむように優しく微笑んで小さく呟いた。





「────じゃあ、行こっか」

「そうだな」
ザックスも立ち上がる。

ザックスと共に歩き出したエアリスはふと立ち止まり、振り返った。
未だ止むことのない歓喜の声
楽しそうに笑う大切な仲間たち
その中心に佇む金髪の綺麗な蒼い瞳をした、青年。
もう一度その彼を見つめたエアリスは、嬉しそうに翡翠色の瞳を細めた。

「またね、クラウド」








そして、太陽のような青年と
花のように美しい少女は
暖かな光の向こうへゆっくりと去っていった。





end
→アトガキ

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