DOUBLE WHITES*DOUBLE KINGS

□第2部:知られざる文化
2ページ/20ページ

「わぁ、着いた! ボルドの町ね!」
「やっと寝れる…」
 町の入り口には門番が2人。
 厳つい顔をして3人を舐めるように見渡した。

「旅人か?」
 右の門番が口を開く。
 「あぁ、身体を鍛えに来た」 男が答える。
 ん?何かおかしいような…
 嫌だな…鍛えるって。
「…」
 門番は何も言わずに道を開けてくれた。
 そんなに簡単に余所者入れて良いんだろうか…。
「おお!流石だな!剣士や格闘家ばっかりだ!」
 さっきまでへばっていた映士が目を輝かせて町を見渡す。
「ほんと、男ばっかり…」
 ムサい…げんなりする…。
「あ、ちょっとどこいくの?」
「ぐぇ、しらゆき、首しまっ」
 映士の後ろ襟を掴んで不意に歩き出した男を追い掛ける。
「宿を探すぞ。流石に限界だろう」
 やった、やっとお風呂にはいれる!!
「けっ!今さらかよ!五日間ぶっ通しで歩かせた癖に!」
「それくらい堪える体力と忍耐力を付けるんだな。お前はオマケなんだから途中でへばったら捨ててくぞ」
「お前…とことんムカつく奴だな」

********

「ボロッ!」
「やだ!何ここ!お化け屋敷の間違いじゃないの?」
 目の前のボロ宿の前で騒ぎ出す若者2人。
「黙れ、この町は強さを求める者が鍛練する場所を作るためだけの町なんだ我慢しろ」
 なるほど。
 だから町中が剣士や格闘家や冒険者で溢れ返っていてこんなにもムサ苦しいのか。
 色の無い町だ。
 だけど…
「なんで私がこんな汗臭いところで寝なきゃいけないのーっ!?」
 狭い部屋にベッドが一つ。
 灰色の壁はボロボロで床は剣かナイフで付けられたような傷が沢山付いており、シーツは煮しめたような汚い白。
 部屋中に籠る汗臭さ。
 以前どんな風貌の客が泊まっていたのかすぐに想像出来そうだ。
「やだやだ!こんなとこで寝たら乙女じゃなくなる!!」
 涙目で映士に掴みかかった。「しょうがねぇだろ!一人部屋がその部屋しか空いてねぇんだから!」
「じゃあアンタがあっちで寝なさいよ!! 息なんて出来たもんじゃ無いわ!」
 映士と男が泊まる部屋はこの部屋の向かいの二人部屋で少し広め。
 ボロいことに変わりはないが、何より汗臭さはない。
「しらゆき少女、我慢しろ。眠ってしまえば匂いも気にならんだろう」
 この薄情者が…
「嫌!とにかくっ、私はここで寝るからね」
 私の我が儘に呆れ顔の2人が視界の端で顔を見合わせてるのを無視してベッドに潜り込んだ。
 あんな部屋で寝るくらいなら我が儘だと思われたっていいもん。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ