小説

□後
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『これって…お…お…お…』


スキダカラ、キダッタカラ〜これか、ずっと…


「お…お…お…男ォォォォォォォォォォォォ!!!!!?」

(まっまさか…)

理京はさっき自分が落ちた階段を見た。そのまさか。階段は確かに13段あったのだ。
他の学校にもあるとは思わなかった。

(これですか…)

「サン・フォルテぇー!!」

理京は昔いろんな意味で世話になった奴の名を呼んだ。そいつはすぐに現れた。

「あら、アンタ誰?」
「川越理京」
「あー! 久しぶり〜♪ 何年ブリ?」
「3年ぶりだよ〜〜ってアホか!」
「3年会わない間に…何があった?」
「てめぇの階段のせいだよ!」
「あ、5段目かぁ〜〜」
「そーよ。どうすりゃいいの?」

「一純がいるじゃない」

サン・フォルテはさも当然のように言った。

「一純は…」

理京は階段の上を見た。サン・フォルテが理京の視線の先に目をやると、そこには楽しそうに話をしながら歩く、一純と塁の姿があった。

「嘘!? 別れたの!? あんなにキスしてたのに!?」
「あんたがさせたんだろ。色々あんのよ」
「えーっ!? 色々って何よ!? アンタ達絶対結婚すると思ってたわ!」
「わたしは…魔女は人間と一緒にはなれない」

人間なら魔女と言っても疑うかもしれないが、相手は自称・精霊(自称は余計よ!byサン・フォルテ)。すぐに信じてくれるだろう。

「そう…でも…理京の相手は一純だけよ」

(!!)

「一度階段を落ちた相手とはずっと契約されてるわけ。一純に彼女ができようが理京に旦那ができようが解約はナシ。…ってことだから一純呼んでくるわ!」

サン・フォルテは走り出した。

「あっちょっ…まっ…」



「一純ー!!」

覚えてるかな一純…

「サン・フォルテ!」

あ、覚えてた。

「久しぶり? どうしたの?」

一純が普通に言った。

「え!? 佐藤知り合い!? こっの人う、浮いて…」

一純は慣れているが塁はこういうのに慣れていない。ものすごく動揺している。

「理っ…「塁、先行ってて。あと高橋(先生)に遅れるって言ってて!」

一純は「理京」と言いかけたサン・フォルテの口を塞いで言った。

「? うん…」

塁が行ったあと、一純は口を開いた。

「理京? 理京に何か…」
「実は…」


サン・フォルテは理京のところに一純を連れて行った。するとそこには男になった理京が!!

「や、やっほー?」

理京が誤魔化す。

「……」

一純、開いた口が塞がりません。

「で? オレに何をしろと?」
「決まってんでしょ。キvスv」

サン・フォルテのその言葉が、この状況では悲しく聞こえた。

「そんなっ…!」
「一純…」


言いたい事は…分かってるよ…今あなたには花崎塁という彼女がいる。いくら元カノを元に戻す為とはいえ…キスなんて…ね…でも…


「あの…実は…」

理京は、一純でなければならない理由(さっきサン・フォルテが言った事)を話した。

「――ってわけなの。ごめんっ…ごめんねぇ」

理京の目からは涙が零れ落ちた。

「…そうゆうことならしょーがないよな。でも…」
「うん…」
「最後…だからね」

最後の…キス。
2人が離れると、理京は元に戻っていった。

「ほんとにごめんね。ありがとう。さよなら」


理京は笑って……………………消えた。


「え……なんだよ…なんだよそれぇぇぇぇぇ!!」

一純は誰もいない廊下で、1人叫んだ。声は虚しく響く。すると。



(注:ここら辺からオチ)


「なんだよって何が?」

後ろから声がした。

「へっ?」

一純は間抜けな声を発して振り返る。するとそこには何事もなかったかのように笑う理京が立っていた。

「一純に紹介しようと思ってつれてきたの」

何事もなかったかのように理京は言い、そしてこう叫んだ。

「ダーリン! カモーンv」

(だ…だーりん?)

ハイ。一純、開いた口が塞がりません。
するといきなりそこに(一純の)見知らぬ男が!!

(だ…誰この人…や、でもどっかで見たような…)

アレ? 言われてみれば…

「紹介しまーす☆ マイダーリンv のユウジ・コルノール。人間界での名前は杉本遊二でーす☆」
「あぁっ!」

一純は思い出した。ユウジ・コルノール…そう、彼は3年前、一純が魔界に行った時、理京と一緒にいた…

「え、ダ、ダーリンって…? 婚・約・者!?」


理京の爆弾発言まで…3…2…1

「ちがうよぉ〜夫v 入籍済だよ〜v」

…なんかいちゃついてるし。この2人も超バカップルのようで。一方一純の方は衝撃が走ったみたい。

「Σ(゜д゜ノ)ノ入籍済ィ!?」
「でも式はしてないんだ。来月するから来てね♪」
「……」

こいつ式に元彼呼ぼうとしてるよ! いいのかそれで!?




≪1ヶ月後≫
コンコン

「準備できた?」
「波音」

『新婦控え室』に入った波音は、今も昔も変わらない鬼ダチに声をかけた。

「かっかわいー」

鬼ダチのドレス姿を見た波音が言う。

「そ、そうかなぁ」

恥ずかしがりながら理京が言った。

「うんうん」
「波音は相手いないの?」

理京が意地悪く聞いた。

「残念ながら」

「あはははは…」

2人で笑った。

「これからどうするの?」
「んー? ずっと人間界にいるよ。高校も卒業するしねー。遊二は魔界の学校卒業したらこっちに来るって。そしたら念願のマイホームよ!!」

理京が空を指差して言った。

「はいはい。つーかマイホームとか高校生の会話じゃねーよ…」
「そーですねぇー」
「ま、うちらはずっと鬼ダチさ」
「そーですねぇー」
「あっそれやっぱムカつく! 天誅ー!!」

波音が理京に襲い掛かってきた。

「ギャァァァァ!!! アンタドレスになんてことを…これレンタルなんだよ!? 弁償しろよオマエ!」
「知るか! 魔法で直せば!?」
「あ、そっか」
「忘れてたのかよ」
「あ…あの…」
「あ」

波音が投げたパウダーが、ドアのところに立っていた式場の人に当たって、その人が粉まみれになっていた。

「し、新婦…そろそろお時間です…」
「ごっ…ごめんなさい…もうしません」




「――川越理京、貴方は杉本遊二を夫とし、彼を愛し慰め敬い時には励まし合い、生涯誠実であることを誓いますか?」
「誓います…」








18年後。

≪杉本≫

ピーンポーン

「はーい」

ガチャ

「こんばんは!」

ドアが開いて、入ってきたのは見たところ男の子。彼女は佐藤香奈芽(14)、正真正銘、一純の娘。

「こんばんは香奈芽ちゃん」

32歳になった杉本理京は、元彼の娘に優しく声をかけた。

「こんばんは信二君」

そして、次に入ってきた元彼の息子・佐藤信二(11)にも言った。彼は男のままだ。そして。

「こんばんは。一純に塁」

そこには元彼・佐藤一純(34)と今は姓を「佐藤」に変えた理京の親友・佐藤塁(34)の姿があった。

「こんばんはー理京」

そこへ家の中から誰かが走ってきた。

「香奈男ーこん――」
「香奈男言うな# シバくぞゴルァ」

香奈芽を「香奈男」と呼んだこの子は理京の娘、香奈芽と同い年の杉本絵里(13)。もちろん本名はエリ・コルノール。

「香奈ー部屋行こー」
「うん」

そういって2人は消えた。多分絵里の部屋に行ったのだろう。

「絵里!! あっ、さっあがって」





「遊二、一純たち来たよ」

理京は居間で待っていた夫に声をかけた。

「うん」

遊二は返事をした。

「孝之君、誕生日おめでとう」

塁が座って積み木遊びをしている理京の息子・杉本孝之(5)(本名:タカユキ・コルノール)に言った。

「ありがとう」

孝之が答えた。孝之の誕生日パーティー。一純たちがここへ来たのはこの為だった。
しかし不安なことが1つ。魔法使いの子供は5歳の誕生日から魔法が使えるようになる。つまり孝之は今日からだ。しかし孝之はまだ今日1度も魔法を使っていない。

「もうすぐ夜だね…」

信二が言った。

「あぁ」

理京の息子で信二と同い年の杉本恵吾(11)(本名:ケイゴ・コルノール)が言った。その時。

「あ」

孝之の後ろにあるぬいぐるみが浮いていた。そして、おもちゃ箱の中に入った。

「理京、したか?」
「まさか。遊二は?」
「オレもしてねぇよ」
「恵吾は?」
「する訳ないだろ!?」
「一純、塁、信二君は無理で…香奈芽ちゃんも絵里もいない…ってことは…」
「?」

孝之が首を傾げた。

「ぃよっしゃぁぁぁぁーー!!」



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