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□世界の隅っこにて、
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「…馬鹿、阿呆、女たらし、馬鹿…」

ぐずぐずと泣きながら呟く。
全部アイツが悪いのだ。相手のファミリーのご令嬢にヘラヘラしちゃって。
にこにこご機嫌取りなんてしちゃって。

「…ジョットの馬鹿…」

だから勘違いされるのよだからキスなんてされるのよ。

「見つけた…!」
「!………」

ジョットの声が上から聞こえ、肩がピクリと跳ねる。
見つかった、いつもだ。
いつも私が隠れている場所を必ず見つけてしまう。

「…すまない…」

部屋の片隅にうずくまる私を見て、そう言ってシュンとするジョット。

ほんとはわかってる。
ファミリーの為ということも、彼はとっても優しいことも。
だからそれをわかってるのにジョットを困らせる私は。

「馬鹿」
「…ああ」
「女たらし」
「な…」
「…ごめんね」
「!」

泣きながらそう言うと、ジョットは少し驚いて苦笑した。

「私こそ、すまない…」

ぎゅっと抱きしめられ、そろそろと腕を回して寄りかかる。

困らせる私は良い子じゃないけど、嫉妬深いけど。

「でも私ジョットが好き」



世界の隅っこにて
(愛を呟いてみるの)



「…私は愛してる」

ジョットがそう言って私をもっと強く抱きしめた。

それだけで満たされてしまうの。

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