気まぐれ
□タオル
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「ふー…。」
「あ、紳一おかえりー。」
「あぁ。」
今日は紳一の家にお泊り。
先にお風呂入っていいって言われたけど、ここは紳一の家だからそれは紳一に譲ってあたしはボーっとテレビを見て待っていた。
「待たせたな。」
「ううん。じゃああたしも入っていー?」
「あぁ。」
あたしは立ち上がってカバンからパジャマや替えの下着を取り出す。
「よしっ。……?」
「……。」
「?」
準備をしてふと紳一を見ると、紳一は立ちつくしたまま何かを考えるような表情。
「………。」
「どうしたの?紳一、」
全く動かない紳一が不思議で声をかけてみた。
「いや…、」
「?」
くるっとドアのある後ろを振り返り、でもすぐにうーんとこっちに向き直る紳一。
…なんなんだ。
「俺はタオルをどこへやったかと思って。」
「タオル?」
…え?
どうやら紳一はタオルを探しているらしい。
まだ半乾きの髪をかき上げて眉間に軽くシワを寄せる。
「…うーん…。」
「紳一、」
「ん、何だ?」
「タオルってその首から下げてるのとは別の?」
そう、紳一はタオルを首にかけた状態で部屋へ入ってきていた。
「…あぁ、」
ももももしや、そのタオルを探していたのかな?
そんなバカなって思うけど、あのスッキリした顔を見るとやっぱり探していたのはそれのようで…。
「いやぁ、風呂場に忘れたのかと思ったよ。」
「……。」
普通首から下げたタオルの存在忘れないでしょ。
紳一、どんな天然さんなの…。
そんな可愛い紳一にきゅんっときたあたしは、思わず言葉を失ってしまいました。
Where is the towel?
(半分くらいは呆れて言葉が出なかったんだけどね。)
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実体験。
100401*葉月
加筆*110615
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