気まぐれ

□どうしよう?
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「ねぇ、「しぬ」って何?」


唐突に君がそう呟いた。

俺は、君がふざけて冗談で言ってると思い軽く流そうとした。

だけど、


「………。」


彼女に視線を向けると、冗談で言ってるのではないと分かった。


いつも笑顔で前を向いていた彼女が俯いている。


表情を見ることは出来ないけど、明らかに彼女からは重苦しい空気が漂っている。



「(どうしちゃったんだろう…。)」




「死」のことは、俺も正直よく分からない。


ただ、この世からいなくなるってことは分かる。


でもそれはきっと彼女の求めてる答えとは違うわけで…。



「………。」



返答には困るけど…、


俺としてはとりあえず彼女にいつものように笑ってほしいから、


「…?」


彼女の頭を撫でてあげることにした。



そして、



「俺は君を絶対に死なせないから、まだそんなこと知らなくていいんだよ。」



笑顔でそう言ってあげた。


もちろんこの言葉に嘘はない。



「………。」
「…ね。」



彼女は相変わらずにこりともせず


だけど俺と目は合わせてくれた。



俺は彼女の頭をぽんぽんと叩いて、


それからにこっと微笑んで、


彼女の病室を後にした。


「(頭も心もぐるぐるしてて、1人なりたいだろうしね。)」



こんなとき、どうしよう?
(とりあえず君らしく笑えばいいんじゃない?)(あぁ、でも明日になっても君に笑顔が戻らなかったら俺はどうしよう。)




baton*【REBORN】病院バトン 〜彼は主治医編〜


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