気まぐれ
□hand and breathing
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花形くんは彼氏です!
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頭痛い…。
気持ち悪い。
胸やけしたみたいにむかむかする。
とにかく体調が悪いんです。
「ゔー……。」
カーテンを全部閉めて、薄暗い部屋でベッドにごろんとしているけど眠れない。
寝たら良くなりそうだし、なによりこの頭痛やらなにやらを忘れられるのに。
「けほっけほっ、けほ。」
咳をすると響いて余計に頭痛い。
風邪かなぁ…。
(ピンポーン) (「はーい。」)
軽く浅い眠りに落ちかけた頃、家に誰かがやってきたようだ。
せっかく眠れそうだったのに…。
誰だかわからない来訪者を少し恨んだ。
「はぁ……。」
あー、頭痛い。
コン、コン、
「…ぅ?」
誰? お母さんかな?
「……なにー?」
「…入るぞ。」
え、この声って……、
がちゃっ
「?どうしたんだ。」
「はながたくん…。」
そう。部屋にやってきたのはなぜか花形くんだった。
外は明るいのにカーテンを閉め、ベッドに俯いて寝そべる私を見て不思議に思ったであろう花形くんは、ベッドに近付き私の顔を覗き込む。
「いろんな症状におそわれてるのー……。」
「具合悪いのか?」
「……ぅん。」
心配してくれている花形くんの声が心地良い。
「ゔーー………、ぅ、」
「……。」
しんどさで唸る私を黙って撫でてくれる花形くん。
そんな状態が少し続いて、花形くんが口を開く。
「辛そうだから、1人のほうが休めるだろう。」
帰るからな、と撫でられていた手が頭から離れる。
……あ、
さみしい。
「は、ながたく…、」
「ん?」
今まで伏せていた顔を上げると、花形くんはドアを開けようとしていたところだった。
「かえんないでぇ。」
「俺が居ないほうが寝れるだろう?」
「…いて、ください。」
首を振って、縋るように花形くんのほうに手を伸ばした。
「…わかった。」
花形くんは伸ばされた私の手を握ってまた頭を撫で始めた。
2人の呼吸が聞こえるくらい静かな空間。
優しい花形くんの手で、私の心はとても穏やかです。
Your hand and your breathing
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100510*葉月
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