雑記

□そう、いつだって
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気付いたときから傍にいて、
息をする様に彼女を愛した。

でも彼女はジャックが好きらしかった。特に恥じらいもなく言ってのけたから、俺は表情を崩さずに返事ができた。

でも、心の中ではぐるぐると負の感情が回り、それでも彼女が好きだったから幸せになってほしいと願った。



「ふられちゃった。」

「……ぇ、」



帰ってきた彼女は清々しい程の笑顔で開口一番そう言った。


別に、好きだって言っただけなんだけど、ジャックは私と付き合う気ないんだって。付き合って、なんて一言も言ってないのに、変だね。

でも、言って、拒絶されて、悲しくも何ともないから本当は彼のことそんなに好きじゃなかったのかもね…
私って人の心どころか自分の心もわかんないみたい。



「…それでも、好きなのか?」

「好き"だった"よ。」



もうあの人、私いらないよ。


そう、綺麗に笑うから。俺はただそうか、と答えるしかなかった。


内心嬉しがっている自分がいて、嫌悪した。彼女に幸せになってほしかったんじゃないのか。それなのに彼女がまだ誰のものにもならずにすんだことを喜んでるなんて。
早くこの気持ちを言葉にして届ければいいものを、俺は話すのが苦手でなかなかできない。
もしできたのなら、彼女は受け入れるかはわからないが真摯に受け止めてくれるはずだ。傍にいた自分がよく知ってるじゃないか。

それができない俺に、彼女の幸せになれるのか?





数日して、ジャックが訪ねてきた。

先日の告白、受けてやってもいい、と。

でも彼女は



「いらない。」



その一言でジャックを拒絶した。
驚いたジャックがなにやらわめき散らしているけれど、彼女はただそれを静かに聞いている。



「あのね、私、他人の"好き"に依存した恋はしたくないの。ジャックは私に好きだと言われて初めて私を意識したんでしょう?ジャックは私の好意に惹かれて付き合う気なら、私は断るよ。"私に惹かれてない"のなら、そんなこと言わないで。」

「だがお前は俺が好きだと言ったではないか!」

「好き"だった"。もう過去の感情になっちゃったよ。でもね、ジャックにふられたおかげでやっと気付いた事があるの。」

「…………」

「だから、ありがとジャック。私を少しでも好きになってくれて嬉しかったよ。」



そういえば少しは納得したような顔で、ジャックは帰った。

その後、すぐ彼女が俺の近くに来て笑った。



「話、聞いてたよね?」

「…ああ。」

「遊星にね、言いたいことあるんだ。」



ジャックにふられてからね、色々考えたんだよ。私の大切な人は本当は誰なのかなって。
それでね、前クロウに言われた、目を閉じて思い浮かぶ人=好きな人ってのをやったらね…遊星だったの。



「お、れ……だったのか…?」

「うん。」



それでね、もっと考えたら…
泣かないでって思うのも、
笑ってほしいって思うのも、
傍にいたいって思うのも、



「全部、遊星だったの。」

「…俺だって、同じことをずっと思っていた。」

「…本当?」

「嘘ついてどうする。俺はずっと前からお前のこと好きなんだ。」



やっと言えた。
彼女の手をとって、顔を近付ける。



「…返事を、くれないか。」

「うん、私も遊星が好きだよ。ずっと気付けなくてごめんね。」

「そんなこと、気にする必要はないさ。」

「そうだね。」



そう言う彼女の笑顔はやはり綺麗で、もう一度好きだと告げて、静かにキスをした。













そう、いつだって
幸せはすぐ近くに。













(これからもずっと傍にいるから)


END


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