雑記

□それは所謂、
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図書室には、眠り姫がいる。


そう噂される原因は僕の隣で爆睡している彼女。

同い年で仲の良い彼女は、暇さえあれば何処でも寝ている。夜の鍛練だとかで疲れてるわけでもないのに、短い休み時間でさえ寝ていた。

前に、三郎が面白がって理由を聞いたことがあった。



「お前、なんでそんなに寝てるんだ?眠そうってわけでもなさそうだけどなぁ?」

「忍者は休めるときに休めなきゃいけないって先生に聞いたんだ…というか、将来仕事漬けで寝る暇なかったら困るから寝れる時に寝ようかなって。」

「睡眠貯金?」

「うん。」



真顔でそんな事言うから、三郎は腹を抱えて笑っちゃったんだ。

その直後に彼女の右足ハイキックを喰らってのびちゃったんだけどね!


でも、無防備に寝てるわけじゃないみたい。

他人が半径1メートル以内に入ると起きて身構えるし、三郎が3メートル以内に入ると手裏剣投げてくるんだ。それは正当防衛だからいいんだけどね!



しかしながら、僕が近付いても彼女は起きてくれない。むしろもっと深く眠っちゃうみたい。

その理由も聞いたんだ。



「雷蔵?雷蔵はね、人畜無害だから。」

「ええぇ…それは褒め言葉なのかなぁ?」

「うん。あのね、雷蔵が傍に居てくれると凄くよく寝れるの。安心するんだぁ…」

「…えっ、と……それは…」

「なんでだろうね?」

「………」



淡い期待をしちゃって、そのあと少しへこんだのは覚えてる。

でも、彼女が傍で寝てくれるのが多くなってハチが羨ましがってたし、三郎はによによしてた…苛々してたまに手裏剣投げちゃうんだ!


結局、奥手な僕と鈍感な彼女は友達以上恋人未満状態に落ち着いてしまっている。



でもね?

彼女は言ってくれたんだよ。



「雷蔵。私は雷蔵に恋人ができようが、邪魔だと言われようが安眠するためにずっと雷蔵の傍に居るからね。覚悟しといて。」



ってね!












これは所謂、
プロポーズ?











(にやけてるぞ、雷蔵。)
(ちょっと黙ってなよ、三郎。)


END


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