雑記
□貴方のいない未来
1ページ/1ページ
「丸藤亮さんは昨夜に急に容体が悪くなって…今日は面会できないのですが…」
「…そうです、か。」
「明後日位なら面会できると思いますよ。」
「ありがとうございます。」
亮が入院している病院を出て、帰路をゆっくり歩く。
…あの台詞を、この一ヶ月に何回言われたんだろ。
だんだん、亮と会える日の間隔が広がってる。前は会えない日の方が少なかったのに。
それに会えても、ほんの少しの時間しかない。
最後にキスしたのはいつ?
抱きしめてもらったのは?
好きだと言ってくれたのは?
「…淋しいよ、亮……」
あなたが遠いよ。
もしも、こんな風に会えない日が続いてそのままあなたが死んじゃったら。
…冗談にもならない。
いつの間にか、目から涙が流れていた。
ねぇ、亮。
優しい声で名前を呼んで。
深緑の瞳で私を見て。
強い腕で抱きしめて。
静かに笑って、好きだと言って。
嗚呼、神様。
お願いだから――…
貴方のいない未来なんて
いらないから、
貴方のいた過去を
永遠にしてください。
(あなた無しじゃ、生きられない)
END