短編小説
□決別
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キンッ!
夜の森の中、金属がぶつかり合う高い音が響く。
いきなりきた攻撃をユーリは防ぐことで精一杯だった。
月が出ていて明るい夜だが、今は隠れている。
まるで狙っていたかの、その瞬間の出来事だった。
自分はレイヴンに誘われて、森の中へと歩いてきた。
今日はキャンプをしていて、見張りはラピードだ。
うまく眠れなかったユーリを、同じく眠れなかったレイヴンが連れ出したのだ。
話がある。
それだけいわれ、森にはいったのだ。
短くいわれたその言葉に、いつものレイヴンらしさが、感じられないように思えた。
それはまるでもうひとつのレイヴンの顔である、帝国隊長主席・シュバーンオルトレインのようだった。
しかし、自分のことを誘い出したレイヴンの纏っている雰囲気は、そのどちらともいえない。
そんな曖昧なものだった。
そんなことを思いながら、ユーリはレイヴンの後を付いていく。
いつもと違って、何も言わないレイヴンは確かに変だった。
ユーリがそのことに口を開こうとするが、向けられている背中は、話しかけることを拒否していた。
*