短編小説

□だって。
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今、レイヴンはキッチンに立っている。

周りには、生地の入ったボウルと切った果物を載せてあるトレイ。

それに、少し甘めに作った生クリームが並んでいた。

何でかって?

それはユーリに言われてクレープを作っているから。

甘いもの嫌いのレイヴンに、ユーリがクレープを作ってくれって、再三いってきて。

「おっさん。
 クレープ作ってくれよ。」

「やーよ。
 おっさんは甘いもん苦手なの。」

甘い匂いすらかぎたくなくて、最初は拒否してたレイヴン。

「作っている身にもなってよ。」

「それでも、食いたい。」

「自分で作ればいいじゃない。」

「おっさんが作ったのがいいんだよ。」

「まったく、わがままな青年ね。」

「愛情、込めてくれよ」

最後に言われたことが、止めだった。

二人は言うところの恋人同士。

しかも、なんだかんだ言いつつもユーリが好きなレイブンは、それを拒否しきることができなかった。

結局はユーリに根負けした形のレイヴンがいて。

仕方ないから作ってあげようとしたところ、買出しに行っていた女性軍が帰ってきて。

クレープを作っているところを目撃され、何なら人数分をお願いされてしまったのだ。

甘い匂いが充満するキッチンに軽く眩暈と襲ってくる胸焼けと格闘したこと15分。

ようやく、生地を焼く作業までこぎつける事ができた。

しかし、この後の生地を焼いたときに香る、甘い匂いを想像してしまう。

そんな自殺行為をしてしまったれレイヴンは、気分を変えるため寛いでいる皆に目を向けた。

それが、いけなかったのだ。




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