長編小説

□差し出されたのは…4
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何、ここ?

真っ暗。

皆は、仲間たちはどこにいるの?

ねぇ、誰かいないの?

誰か!!

一人は嫌よ。

だって一人だと嫌なこと、思い出す。

ドンが死んだこと。

自分が死人だということ。

しかも愚かな道具で。

そして、皆のことを騙してた…




       “裏切り者”




嫌だ。

なんだか、無い筈の心臓が痛い。

自分が引き起こしたことだったのに。

あの温かい皆は、こんなおっさんでも一緒にいさせてくれるのに。

何だろう?

今、凄く怖い。

「おっさん……。」

ユーリ?

良かった。

おっさん、一人じゃないのね!!

そこにいて、今行くから!!!!

あれ?

ねぇ、何でそんなに悲しそうなの?

何で、そんなつらそうな目で見るの?

え?

ちょっと、背ぇ向けないで!

待って!!!

置いてかないで!!!

一人にしないで!!!

走ってるのに、何で追いつかないの!?

ねぇ、待って!!

青年!

ユーリ!!!

あ、とまってくれた。

やっとこっち向いてくれた。

でも、やっぱりあの顔は変わってないわ。

どうして、ユーリ?

「なぁ、おっさん…。」

どしたの、ユーリ?

「……う…して………。」

え?

聞こえないわよ、ユーリ。

もっと大きく言って?






「どうして、裏切ったんだ?」






ドクン。





「レイヴン?」





ドクン。





「信じてたのに。」





ドクン





「…………愛してたのに。」





ドクン





「どうして?」





ドクン!!!






そっか、その顔は。

その目はおっさんのせいなんだ。



その時、世界が壊れる音がした。







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