***HOLiC


1ページ/3ページ





彼女が四月一日の対価を支払って、この"店"が見えるようになってからよく此処に来るようになった
でもただ一つ分かる事





「四月一日はいないわよ」

「知ってます」

黄色い鳥を肩に乗せて、前よりは明るくなったように見えて少し安堵する

「どうぞ」






四月一日がいない時はマルモロが珈琲を出したりと手伝いをする
同じメーカーの珈琲でもいつもと何処か違う味のする黒い液をすする



「で、どうしたの?」

「理由が無ければ侑子さんに会いに来てはいけないでしょうか…」

「いいえ、ただ聞いてみただけ」


彼女の困った顔は好き


「暇ならお相手してくれないかしら?」

「良いですよ」



彼女が此処に来る理由、それはきっと私が彼女に会いたい理由と同じだと思う



部屋に彼女を連れて中に入る

「あの、四月一日くんは…」

「今日は休み、きっと百目鬼くんの所ね」

着物をスルスルと脱ぎながら言う
こんな所、四月一日が見たらまた毒牙一発だの言うのかしら?
…その前に失神するわね









次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]