***HOLiC
□声
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彼女が四月一日の対価を支払って、この"店"が見えるようになってからよく此処に来るようになった
でもただ一つ分かる事
「四月一日はいないわよ」
「知ってます」
黄色い鳥を肩に乗せて、前よりは明るくなったように見えて少し安堵する
「どうぞ」
四月一日がいない時はマルモロが珈琲を出したりと手伝いをする
同じメーカーの珈琲でもいつもと何処か違う味のする黒い液をすする
「で、どうしたの?」
「理由が無ければ侑子さんに会いに来てはいけないでしょうか…」
「いいえ、ただ聞いてみただけ」
彼女の困った顔は好き
「暇ならお相手してくれないかしら?」
「良いですよ」
彼女が此処に来る理由、それはきっと私が彼女に会いたい理由と同じだと思う
部屋に彼女を連れて中に入る
「あの、四月一日くんは…」
「今日は休み、きっと百目鬼くんの所ね」
着物をスルスルと脱ぎながら言う
こんな所、四月一日が見たらまた毒牙一発だの言うのかしら?
…その前に失神するわね