***HOLiC

結婚
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わたしは結婚した。
だいすきなひとたちに報告をした。
百目鬼くんには直接、会って報告した。いつもの無愛想な顔で「おめでとう」と言ってくれた。嬉しかった。
四月一日くんは、電話で報告した。ちょっと寂しそうな声で、おめでとうと言ってくれた。
絶対、4月1日。直接会って伝えようと思った。
もうひとり、言えなかった。

「侑子さん…は?」
『ひまわりちゃんは覚えてたんだ、』
「わたしの中にずっといるよ、侑子さんは」




ベッドの上で裸になった。
わたしを見て、美しいと言ってくれた。
わたしはそのひとを旦那さんと呼ぶ。こんなわたしを幸せにすると言った。幸せに出来るの?って聞いたら頑張ってしてみせるって、笑って言ってくれた。

セックスは初めてじゃない
「ひまわり、痛くない?」
少し肌に触れただけで彼はそう聞いてくる。痛くない、もっと強くてもいいのにと思うくらい、むず痒い。
「入れるよ、」
彼はいつだってそう聞いてくる。わたしは良いよと言ってそれを受け入れる、
「………っ」
痛みが走る。わたしが求めていた痛みだった。
彼は再び大丈夫かと聞いた。大丈夫と答えた。
ただ、我慢出来ないこともある。
「お願い、キスして…くれない」
キス、をしてくれなきゃ。我慢できないものがある。

侑子さん、と
名前を言いそうになるから、






貴男との最中に、大好きな貴女の名前を



終わり
 

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