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□これがはじまり
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「付き合ってほしい」

僕は真っ直ぐに彼女、サトシを見てそう言った。
サトシはきょとんとした顔をした後に、にこりと笑い言い放った。

「おう、いいぜ。何処にだ?」

あぁ、やっぱりね。予想はしていたさ。鈍感な、いや恋愛経験皆無なサトシの中では「付き合う=何処かに一緒に行く」になるんだろうことは。
何も言わない僕を疑問に思ったのか、サトシが首を傾げながら呑気に僕の名前を呼んだ。
僕は溜め息が零れるのをこらえてにこりと笑った。

「違うよサトシ。そうじゃない」
「へ?じゃあ何だよ」

僕が否定をするとサトシはまた首を傾げた。
あぁもうその仕草はやめてほしい。
一体どれ程の破壊力があると思ってるんだ。これをサトシは無自覚でやるから恐ろしい。
まったく何度襲いそうになるのをこらえたことか。

「僕が言うのは付いてきてほしいって意味じゃなくてね、交際してほしいって意味なんだ」
「こうさい…?」
「つまり、男女同士の付き合い、デートしたりしたいってこと」
「デート…」

頭が追いついていないのか、デートデートと顎に手を当ててぶつぶつ呟くサトシ。
その間僕は何をするでもなくサトシを見ていた。
因みにここは僕の部屋だ。特に誰に邪魔をされるわけではないから時間は十分ある。
そう思って窓の外に視線を移そうとした時、視界の端で赤くなったサトシを捉えた。

「サトシ?」
「あ、あああああのな、シゲル、その…俺……///」

俯いてスカートの裾を握り締めているサトシ。どうやら僕が言ったことを理解したみたいだ。

「あ、あのさ、シゲルは俺のことが、その、す、好きってこと…何だよな///?」
「そうだよ。もちろん友達としてじゃなくね」
「だ、だよな。でな、俺も考えてみたんだ、ちゃんと、シゲルのこと」

つまり詰まりになりながらも一生懸命話そうとするサトシ。
僕はそんなサトシを急かそうとはせずにじっと待つ。
するとサトシは勢いよく顔をあげ僕を真っ直ぐに見詰めた。

「俺、シゲルのこと好きだ!たぶん…シゲルが言ってるのと同じ、意味で///」
「たぶんなんだ」
「え、あ、いや…そのっ///」
「十分だよ」

僕の言葉に焦り出したサトシを見て僕がそう言うとサトシは俯いてしまった。
僕は自分と視線を合わせるために、俯いたサトシの顎に手をあてて持ち上げた。

「安心しなよサートシちゃん。その君の気持ち、僕が確実なものにしてあげるよ」

にこりと笑いサトシの額に軽くキスをすると、サトシは赤かった顔をさらに赤くした。


これがはじまり


(な、な、な、何するんだよっ///)
(何ってキスだよ)
(そ、そういう事を言ってるんじゃっ///)
(唇にしてほしかったのかい?)
(違う!///)


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