pkm
□攻撃宣言!
1ページ/1ページ
ある町のポケモンセンターにて、サトシ、デント、アイリスの三人は一夜を越すことにした。
「それじゃおやすみー」
「おやすみアイリス」
「おやすみ、ゆっくり休んでね」
アイリスとキバゴは欠伸をこらえながらサトシ達に手を振り部屋に入って行った。
「それじゃあ、僕達も入ろうか」
「おう」
アイリス達と別れた後、サトシ達も自分達の部屋に入って行った。
………………………………
「眠れないのかい?」
横になってしばらくして、デントはサトシに声をかけた。
サトシは壁の方に向けていた身体をデントの方へ向けてこくりと頷いた。
デントはそんなサトシの仕草を微笑ましく思いながら身体を起こした。
「少し話をしないかい?」
サトシはその言葉に頷き、寝ているピカチュウを起こさないように静かに身体を起こしベッドから出た。
デントも同様に静かにベットから出ると、サトシと共に部屋を出た。
ポケモンセンターは静けさに包まれており―ジョーイさんとタブンネは恐らく奥で待機しているのだろう―待合室には人っ子ひとりいなかった。
「あ、そうだ、ちょっと待ってて」
デントはそれだけを言うと来た道を戻って行った。
サトシは首を傾げながらもとりあえずソファーに座り、デントを待つことにした。
………………………………
「お待たせ」
数分ほどで戻ってきたデントの手には湯気のたっているマグカップが二つ握られていた。
はい、とデントは片方のマグカップをサトシに差し出した。
サトシはそれを受け取り、中身を覗き込んだ。
「ホットミルク?」
「うん、身体が温まるよ」
「俺、別に寒くないけど…」
マグカップからデントに視線を移したサトシは苦笑しながら言う。
デントはサトシの向かいのソファーに座り、ホットミルクを一口飲んでから口を開いた。
「うん、でも、眠れない時にはホットミルクが一番だよ。僕も眠れない時はよく飲むし」
「そうなのか?」
「うん」
「そっか、ありがとな」
「どういたしまして」
ふわりと笑ったサトシに自然、デントも笑顔になる。
しばらく双方共に何も喋らず、時計の秒針の時を刻む音だけが聞こえていた。
その沈黙を破ったのは、デントだった。
「何か、悩み事?」
「え?…あ、いや、そう言うのとは違うんだよな」
何て言うかさ、とサトシは一度マグカップをテーブルに置いた。
「俺、今まで色んな所を色んな奴と旅してきて、色んな出会いをしてきたけど、まだまだこれから新しい出会いがあるかと思うとわくわくして眠れないんだ」
「サトシらしいね」
目をキラキラさせて話すサトシをデントは微笑ましく思う。
「あ、でもこのことはアイリスには内緒な」
「どうして?」
「どーせまた『子供ねー』って言われるに決まってる」
サトシはアイリスの口真似をして、不貞腐れたような顔をした。
あぁなるほど、とデントは思った。確かにアイリスなら言いそうだ、と。
「言わないよ。じゃあこのことは二人だけの秘密ってことで」
デントが人差し指をたてて自らの口の前にもっていってウインクした。
サトシはおう!とにこりと笑い、ふわと欠伸を漏らした。
「そろそろ寝ようか。明日もあるし」
「そうだな。ありがとな、デント。付き合ってくれて」
「それはこっちのセリフだよ。誘ったのは僕だしね」
にこりと笑ったデントは帽子をかぶっていないサトシの頭を軽く撫でた。
サトシは特に抵抗することなくそれを受け入れ、ぽそりと呟いた。
「俺、デントにこうされるの、好きだな」
「そう?なら毎日しようか?」
「い、いいよ毎日は!時々で…///」
「遠慮しなくていいよ」
「っわ!」
照れたサトシがデントの手を頭からすっと退かした時、デントはサトシを引き寄せ抱き込んだ。
気を抜いていたサトシはぽすりとデントの腕の中に納まった。
「ちょっ、デント!///」
「…僕は、本当はずっとこうしたいと思ってたんだ」
「ぇ…」
デントの意外な言葉に、腕の中から抜け出そうとしていたサトシは動きを止め、デントを見上げた。
すると、デントと目が合ってしまいサトシはばっと俯いてしまった。
「嫌?」
「嫌、じゃないけど…よくわかんない」
でも、とサトシは続ける。
「安心する」
きゅ、とサトシはデントの服の裾を掴んだ。
デントはふわりと顔を綻ばせ、サトシの顎を持ち上げちゅ、と額にキスをした。
サトシは一瞬何をされたのかわからなかったのか、硬直していたが、理解した瞬間ぼっと顔を赤くした。
「な、な、な…っ///」
「今はこれで我慢しておくよ。でも、僕にも脈があることがわかったから、これからは攻めていくから、覚悟しててね」
にこりと良い笑顔で言い切ったデントは未だ顔を真っ赤にしてるサトシの手を引き部屋へと戻って行った。
攻撃宣言!
(おはよー二人とも)
(おはよう、アイリス)
(はよ…ふぁ)
(何ー、サトシってば寝不足?)
(ん…ちょっとな)
(ダメよーちゃんと寝なきゃ。全く子供ねー)
(む…)
((結局言われてるなぁ…サトシ))
.