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□君を想う
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何時からだろうか、君を目で追いかけるようになったのは。
何時からだろうか、君にこんなにも心惹かれるようになったのは。
「サトシ」
名前を呼ぶと、振り向いて、笑顔をくれる。
いつも元気な君に、こちらまで元気になる。
彼の柔らかい空気に包まれていると、癒されている自分がいる。
でも、これはきっと僕だけじゃないはずだ。アイリスだって、同じ事を感じているはずだ。もちろんポケモン達も。彼がポケモン達に愛されている、それがいい証拠だ。
「何か用か、デント?」
「うん、また君の今までの冒険の話を聞きたくてね。いいかい?」
「あぁ、いいぜ」
そうだなー、と楽しそうに、昔を思い出しながら話す君を見ていると、君と一緒に旅をしていたという人達に嫉妬してしまう。
もっと、もっと早くに君と出会えていたら良かったのに。
「でさ、その時…って聞いてるのかデント?」
「もちろん聞いてるよ。それで、シンジ君とはその後どうなったの?」
「うーん…アイツとはわかり合えたと思うよ、俺は」
「そうなんだ」
「うん」
そう言ってサトシは少し照れたように微笑む。
「今頃何してんのかなー。ま、アイツの事だから強くなる為にまたどっかを旅してるんだろうな。もしかしたらイッシュで会えるかもな!」
だったら面白いのにな!と興奮するサトシを微笑ましく思う。
でも、それと同時にドロリとどす黒い感情が自分の中に渦巻いたのがわかった。
あぁ、ダメだ、こんな感情。こんな、醜い感情。サトシを穢してしまう。いや、もう、いっそのこと僕のものにして、僕以外を見れないようにしてしまおうか、いっそのこと―――………
「デント?どうした、具合でも悪いのか?」
サトシに声をかけられてハッとすると、心配そうな顔をしたサトシが僕の顔を覗き込んでいた。
「ぁ…いや何でもない、大丈夫だよ」
「ホントか?」
「うん、ありがとう心配してくれて。そうだ、そろそろお昼にしようか。アイリスも戻ってくる頃だろうし」
「だな!俺もうお腹ぺこぺこだよ」
二人とも準備するぞー、と言いながらサトシはじゃれ合っていたピカチュウとヤナップの方へ寄って行った。
今はまだ、大丈夫だ。でも、押さえが効かなくなった時、僕はサトシをどうしてしまうんだろうかと、僕はサトシの背中を見ながら思った。
君を想う
(ただいまー…ってデントどうしたの?何か顔怖いわよ)
(…そうかい?気の所為じゃないかな?)
(…ならいいけど。あ、そだ、ひとつだけ言っときたい事があるの)
(何かな?)
(サトシ泣かせるような真似したら、許さないから)
(…肝に銘じとくよ)
(そうしなさい)
((彼女にはバレバレ、なのかなぁ…))
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