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□本日何度目かの告白劇
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「ほら静雄、起きて!」
「んー……」

帝人は閉まったままのカーテンを開け放ち、未だ布団に包まったままの静雄を起こす。

「早く起きないと遅刻するよ!」
「んー……」
「ほら朝ごはん作ったから、冷めないうちに食べて!」
「おー……」

のそり、と緩慢な動きで起き上った静雄は、眠たそうに、ぼんやりと宙を見ていた。
帝人はそんな静雄に苦笑する。

「静雄は相変わらず寝起き悪いね」
「あー……そう、か?」
「うん、昔から変わらない。そんなんじゃホントにいつか遅刻しちゃうよ」
「しねぇよ」
「えーホントに?」
「しねぇよ、お前がいるんだから」
「うーん…今はそうかもしれないけど、ずっといられるわけじゃないんだよ?」
「いろよ。俺の傍に、ずっと」

静雄はじっと帝人を見つめる。
帝人は一瞬目を見開き、再び苦笑する。

「僕は家政婦じゃないんだけどなぁ」
「……そういう意味じゃねぇんだけど」
「え?今何か言った?」
「いや、何でもねぇよ」

静雄はそう言うとベッドから立ち上がり伸びをする。

「顔洗ってくる」
「うん、じゃあ先にリビング行ってるね」
「おぅ」

………………………………

「じゃぁ、放課後校門で待ってろよ」
「うん、わかった」
「絶対先に帰るなよ」
「わかってるよ。もう、静雄は心配性なんだから」

帝人は苦笑し、手を振りながら自分の教室に向かい歩いて行った。
静雄は帝人の去って行く後姿を見て短い溜め息を漏らした。

………………………………

「悪い、待たせた」
「大丈夫だよ、静雄…ってその怪我、また喧嘩したの?」

帝人は静雄の頬にある一筋の赤い線を指差す。
静雄は帝人から視線を逸らし、頬を掻く。

「程々にしなよ?ほら、絆創膏貼るから少し屈んで」
「ん」

帝人は鞄の中から取り出したポーチから絆創膏を取り出すと、静雄の頬に貼りつける。

「はい、出来た」
「サンキュ」
「どういたしまして」

帝人はにっこりと笑うと、ポーチを鞄にしまう。

「…なぁ、帝人」
「ん?何?」
「好きだ」
「ありがとー。僕も静雄のこと好きだよ」
「……はぁ」
「えぇ!?何で溜め息!?」
「気にするな」
「えぇー…」
「ほら行くぞ」

静雄は帝人に手を差し出すと、帝人は不服そうな顔をしながらも、自分の鞄を静雄に差し出す。

「ありがと。…ねぇ静雄。前から思ってたんだけどさ、いつも荷物持ってくれるけど、何で?」
「あ?嫌か?」
「ううん、そうじゃないけど」
「ならいいだろ。行くぞ」

帝人は納得のいかない顔をしながらも、静雄の隣に並び、歩き出した。

「帝人、今日はうちで食べてくだろ?」
「うん、そのつもりだよ。今日はお父さんもお母さんも遅くなるみたいだから。何食べたい?」
「カレー食いたい」
「了解。じゃ、買い物して帰らなきゃね」
「おぅ」

………………………………

「「ごちそうさまでした」」
「美味かった」
「ありがとう。あ、お皿先に水に浸けとくからこっち貸して」
「おぅ、サンキュ」

帝人はカチャカチャと皿をまとめ、流しに置き、水に浸ける。

「帝人」
「ん?何?」
「ちょっとここに座ってくれ」
「?わかった」

帝人は静雄の真剣な声に疑問を抱きながらも、言われたとおりに椅子に座る。

「どうしたの静雄?」
「好きだ」
「うん、僕もす――」
「違う」
「え?」
「俺が言ってるのは、そういう好きじゃない」

静雄は帝人の手を握り、手の甲にキスを一つ落とす。

「こういう好きだ」

帝人は一瞬、自分が何をされたのかを理解できず固まったが、理解した瞬間顔を真っ赤に染めた。

「え…えぇぇぇ!?う、嘘!?だっだだだだって静雄今までそんな素振りなかったのに///」
「お前、鈍すぎなんだよ…」
「ぅ…ごめん」

静雄が短く溜め息を吐き出すと、帝人は項垂れながら謝る。

「で、返事は?」
「え…えと///」
「ん?」
「僕、今までそういう風に静雄のこと考えたことなかった」
「…そうか」
「あ、でっでも!さっきのは、嫌じゃなかった…し、好きだって言ってくれたのはすごく嬉しかった…これって僕も静雄のこと、そういう風に、その、好きって事…なのかな?///」

静雄は、必死に自分の気持ちを己に伝えようよする帝人の頭を撫でた。

「今はそれで十分だ。でも、覚悟しとけよ。これからは本気で行くからな」

そう言ってニヤリと笑った静雄を直視した帝人は、さらに顔を赤く染めるのだった。


本日何度目かの告白劇


(そういえば、静雄は何時から僕のこと、その、好きだったの?)
(…ガキの時から)
(え…?)
(ガキの時から、気づいたらお前のことが好きだったよ)
(ぁ///)


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