Present

□他所でやってくれ
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昨日予め皆に伝えていた集合時間近くになって、校長室には徐々に戦線の前線メンバーが集まりつつあった。
そんな中、あたしも含めて皆が一様に日向君と音無君から目を背けて、というか意識しないように努めていた。
この二人は校長室に来てから(いやもしかしたらここに来る以前から)ずっとくっついている。まぁ、くっついている、といっても手を繋ぐ程度なんだけど。
正直初めにここにその状態で入ってきた時は驚いた。二人が付き合っていたことは前から知っていたけど、日向君は兎も角まさか音無君が人前で手を繋ぐとは思わなかった。
二人の後に来たメンバーはこの二人を見て何か言いたげにしてたけど、特に何も言わなかった、いや言えなかったという方が正しいかしら?まぁ兎に角二人はずっと手を繋いで寄り添ってソファーに座っていた。

「ん、日向、くすぐったい」
「あれ、気持ちくね?」

日向君がいきなり音無君と繋いでいた手を弄りだした。それがくすぐったかった音無君が日向君の手を掴む。

「んー、じゃあ」

日向君は今度は音無君の頭に手を伸ばして撫でた。それを音無君は眼を閉じて受け入れていた。……可愛いわね…って相手は男よ!いえでも音無君なら…って何考えてるのよ、あたし!

「皆集まったみたいだし、今日のオペレーションの話をするわよ」

とりあえずこれ以上は色んな意味で目の毒だから会議を始めることにした。
部屋の明かりを消して画面にいつもの映像を映す。

「今日は“オペレーション・トルネード”よ。ペアと配置はこれを見てちょうだい」

画面を切り替えて体育館周辺の地図とペアの名前を映し出す。
皆がそれぞれ確認したのを見て、説明を付け足そうと口を開いた時、日向君が待ったをかけた。

「何かしら?」
「何で俺と音無が別々何だよ!納得いかねぇ!」
「だっていつも一緒じゃない。偶には変えてみてもいいでしょ」
「よくねぇよ!」

バン、と日向君が机を叩く。
音無君はそんな日向君の服を少し引っ張り首を振る。

「俺は平気だから」
「俺は平気じゃないの」
「でも、」
「音無は俺と離れたいの?」
「そんなわけないだろ!」
「音無…」
「日向…」
「あーもー、わかったわよ!」

これ以上は耐えきれなくなって(主に大山君が)、ペアを組み直す。
これでいいでしょと画面を切り替えて組み直したペアを映し出す。
今度は日向君と音無君が同じペアになっていた。

「サンキュゆりっぺ!」

日向君がにこやかに礼を言う。
疲れるわ、全く。とりあえず話を進めなければ、とあたしが話しだそうとした時、大山君がおずおずと手を挙げた。
何かしら?と聞くと、あれ、と大山君が真っ赤になりながら指差した先には、さっきよりも密着度が増した二人の姿があった。
私もいい加減我慢の限界にきて、ぶち、と何かが切れる音がした。

「お前らいい加減にしろーーー!」


他所でやってくれ


(こ、怖かった…)
(何もあんなに怒る事ないのになー)


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