Present

□夏の定番
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賑やかな話し声、砂利の音、キラキラ光る灯り。
そう、今日はある神社で夏祭りが行われている。

「はい、千里」
「ありがとう」

俺の隣には、今俺が渡した林檎飴を食べる、浴衣を着た千里がいる。
ちなみに千里が着ているのは、薄水色で金魚柄の浴衣。髪には黄色を基調とした花の髪飾りを付けてる(これは俺があげた物だ)。

「うん、やっぱり似合ってる」
「何が?」
「その浴衣と髪飾り」
「あ、ありがと…///でも、翔のセンスが良いからだよ」
「そ?ありがとv」
「おいっそこの二人!いつまでもベタベタしてんじゃねぇよ!」
「べっ…別にベタベタなんてしてないよっ///」
「てめぇには関係ねぇだろ」
「関係あるね。お兄ちゃんは許しません」
「風、お前のシスコンもいい加減にしろよ」
「ちょっと喧嘩は…ってあれ?優と智は?」
「あっちにいるよ」
「あ、明。お前そんな所にいたのか。てか、いつの間に綿飴なんて買ってたんだよ」
「それよかアイツら何やってんだ?」
「金魚すくい」

そう言って明が指さした方を見ると、確かに優と智が真剣に金魚すくいをしていた。

「なぁ明、あの二人何で勝負なんかしてんの?」
「ちらっと聞こえただけだけど、『どっちが千里さんに金魚をあげるか』を競ってるみたいだよ」
「ふーん。よくやるねぇ」
「あ、決着ついたみたい」

明の声に反応して二人を見ると、確かに決着がついたみたいだった。

「あぁー!破れちゃった…」
「よっしゃ!俺の勝ち!」
「なかなかいい勝負だったね、兄ちゃん達。ほれ、好きなの持ってきな」
「んー、じゃあこれ」
「はいよ」

「あ、こっち来た」
「千里さん、これ」
「くれるの?」
「あ、あぁ」
「ありがとうっ!」
「っ///」

満面の笑みで千里にお礼を言われ、智の顔は真っ赤だ。

「あーあ、真っ赤になっちゃって」
「でも、あの笑顔は反則だよな」
「まぁな。流石俺の妹」
「てめっ風、シスコンも大概にしろよっ!」
「いいだろ別に。あ、そうだ。そろそろ移動しない?もうすぐ花火始まるし」
「そうだな、行くか」

そう言って俺らはぞろぞろと人の流れにそって移動する。

「この辺かな?ポイントは」
「やっぱ結構人いるな」
「もうすぐ始まるからね」
「千里さん大丈夫?しんどくない?」
「大丈夫だよ。ありがと、優」
「お、そろそろ始まるぞ」


ヒュ〜…ドーーン!!


わぁっと歓声があがる。

「綺麗…」

そう、そっと呟いた千里を横目で見る。
その顔はとても綺麗で、花火なんか比じゃなかった。
俺は気づくと、千里の手を握っていた。

「しょ、翔…!?」

千里は―かなり動揺してるだろうに―小さな声で俺を呼ぶ。

「あ、の…恥ずかしいんだけど///」
「大丈夫、誰も見てないって」
「でも…」
「花火が終わるまで…ね?」
「う、ん…わかった///」
「ありがとv」

そうして俺は花火が終わるまで、千里と手を繋いでいた。


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