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□仲良きことは良いことかな
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昼休み、いつものように帝人、正臣、杏里の三人は一緒に昼食をとっていた。
そして、いつものように談笑していたが、帝人の言葉に正臣の動きが止まり、疑問の声をあげた。

「……は?」
「どうしたの正臣?アホ面になってるよ」
「ひどっ!ってそうじゃなくて、帝人、お前今何て言った?」
「?お風呂上がりは牛乳飲んでる」
「いや、それじゃなくて、その前だよ、前!」
「前…?」

帝人は手を顎にあてて考える仕種をする。

「あぁ、静にぃと、偶に幽にぃと一緒にお風呂に入ってるってこと?」
「そう!それだよ、それ!」

バン、と机を叩き、帝人を指差す正臣。
そんな正臣に対し、帝人は僅かにだが眉をしかめた。

「おかしくねぇ?」
「そう?昔から一緒に入ってたから普通だと思ってた」
「はぁ?だってお前、もう高校生だぜ?それに兄貴二人は成人してんだろ?絶対普通じゃねぇ」
「そう言われてもなぁ」

苦笑する帝人に、納得いかないとでもいうような顔をしながら、正臣はもそもそと購買で買ったパンを食べる。

「なぁ、杏里もおかしいと思わねぇ?」
「えと、兄妹仲が良いのは良いことだと思います」
「だよね。ありがとう園原さん」
「いえ、そんな」

ほんわかした空気を醸し出す女子二人にどこか少しズレてると思う正臣であった。

………………………………

その日の夜、帝人は静雄と幽と一緒にお風呂に入っていた。

「あ、そうだ、静にぃ、幽にぃ」
「んー?何だ帝人」
「何?」

わしゃわしゃと帝人の頭を洗いながら返事をする静雄に対し、幽は湯船に浸かりながら返事をする。

「今日ね、正臣と園原さんに二人と一緒にお風呂入ってるって話したら、正臣におかしいって言われたんだよね」

帝人の言葉にぴたりと静雄の手が止まる。

「静にぃ?どうしたの?」
「え、あ、いや、何でもねぇ」

再びわしゃわしゃと静雄は帝人の頭を洗い始める。

「帝人は“おかしい”って言われて何て返したの?」
「“普通だと思ってた”って言ったよ」
「そう」
「?普通じゃないの…?」
「…帝人は、俺らと入るの嫌か?」
「ううん、楽しいから好き」
「なら、それで良いんじゃない?」
「そっか、そうだよね。園原さんも“兄妹仲が良いのは良いことだと思います”って言われたしね」
「そうか……よし、流すぞ帝人。目ぇ瞑れ」
「うん」


仲良きことは良いことかな


((やっぱりおかしいことなんて何もないよね))
((帝人の友達だか何だか知らねぇが余計な事言いやがって))
((帝人とお風呂入れなくなったら嫌だなー))


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