NARUTO

□愛するあなたに捧げる
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「あー…疲れた…」

自分の家に帰宅して早々、ライドウはベッドへと倒れ込んだ。
ここ最近忍不足のためか、ライドウや他全ての忍が任務浸けの毎日になっていた。
そんなライドウにもやっと休みが貰え、何日かぶりに帰宅することができた。

「眠い…」

ライドウは着替える気力もないのか、そのまま眠りについてしまった。

………………………………

眠りについてどれくらい経っただろうか、ライドウの家のインターフォンが鳴った。
しかし、ライドウは起きあがる事もせず、その音を無視した。
すると今度はカチャリと音がし、玄関のドアが開いた。

(鍵はかけたはず…まさか泥棒か…?)

そう思ったライドウは身体を起こそうとしたが、慣れ親しんだ気配を感じその行為をやめ、疲れの所為かそれとも安堵した所為か、再び眠りについてしまった。

………………………………

「ん…」

カチャカチャという音と、何かおいしそうな匂いにライドウは目が覚めた。
ぼんやりする頭と気だるい身体を引きずり音と匂いの元に向かうと、髪をひとつに括った少年――シカマルが忙しなく動いていた。
ライドウがぼーっとそれを見ていると、向こうがこちらに気付いた。

「あ、おはようございます、ライドウさん…つってももうお昼っすけど」
「おー…」

苦笑しながら言うシカマルにライドウは寝起き特有の掠れた声で答える。
それに気付いたシカマルはコップに水を注ぎライドウに手渡した。
ライドウはそれを受け取り小さく礼を言うと一気に飲み干した。

「大丈夫っすか?」
「おぅ、生き返った。それより何作ってるんだ?」

先程から鼻孔を擽るいい匂いに、帰宅してそのまま倒れ込んだ為に何も口にしていないライドウの腹が悲鳴をあげる。

「冷やし中華っす。暑いんでさっぱりしたものがいいかなと」
「じゃあ、あれは?」

ライドウが指差した先には少し大きめの片手鍋が火にかけられていた。

「あれは野菜カレーっす。夕飯にするのに今から先に炊いておこうかと思って」
「そうか…つか珍しいな、めんどくさがりのお前が料理なんて」
「あー、ほら、ライドウさん、今日誕生日じゃないすか。だから…」

少しライドウから目線を逸らし恥ずかし気に言ったシカマルにライドウは目を丸くした。

「ライドウさん?どうかしたんすか?」
「え、あ、いや、何でも」
「…もしかして自分の誕生日忘れてました?」
「ぅ…」

図星をつかれ動揺したライドウにシカマルは短く溜め息を吐く。

「まぁ、わからなくもないんすけどね」
「え?」
「俺も前に自分の誕生日忘れてましたから。あの時はいのに説教されましたよ」

いのの誕生日は覚えてたんすけどね、とその時の事をを思い出したのかシカマルが苦笑する。

「お前らしいな」
「どーも……あ、鍋噴いてる」

シカマルは火を止めて一度かき混ぜると蓋を閉めた。

「とりあえず昼にしましょう。お腹空いたでしょう?」
「そうだな、ごちそうになるとするか」

お盆に乗せた冷やし中華をリビングに運び、椅子に座る。

「「いただきます」」

………………………………

お昼を食べ、片付けも終わり、のんびり寛いでいたとき、シカマルが、あ、と小さく声を漏らした。
どうした、とライドウが聞くとシカマルがポケットから小さい紙袋を取りだしライドウに渡した。

「誕生日、おめでとうございます」
「ありがと。開けてもいいか?」

こくりとシカマルが頷いたのを確認してライドウは紙袋を開けて中身を取り出した。

「ピアス?」
「プレゼント、何がいいかわからなくて料理にしたんすけど…でも料理だけっていうのもどうかと思ったんで一応物も用意してみたんす」
「そうか、ありがとな。でも何でピアスなんだ?」
「んー…何ていうかそれ、ライドウさんに似合いそうだなと思って」

きらり、と蛍光灯に反射してピアスに填められているオリーブグリーンの石が光った。

「今度、穴開けてつけてみるな」
「はい」
「シカマル」
「何すか?」
「ホント、ありがとな。色々悩んでくれたみたいで。でも、俺としてはお前が側にいてくれるだけで十分なんだけどな」
「…よくそんな恥ずかしいことさらっと言えるっすね///」

ふい、とシカマルはライドウから顔を逸らしたが、ライドウからはシカマルの耳が赤いのが丸見えだった。
それを微笑ましく思いながら、ライドウはシカマルを抱き寄せるのだった。


愛するあなたに捧げる


(お前の誕生日プレゼントは何にすっかなー)
(あ、ピアスだけはやめて下さいね)
(何でだ?)
(これは、あいつ等とお揃いにしときたいんで)
(あぁ、なるぼどね)


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