NARUTO

□長
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「きゃー、サっスケくーん!」

任務の受付所で、金色の髪を持つ少女が黒髪の少年―サスケに手を振りながら近づいて行く。
するとそれに気付いた桃色の髪の少女が金色の髪の少女へ意見し、瞬く間に言い合いになる。
その女子同士の言い合いに、桃色の髪の少女と同じ班の男子陣も金色の髪の少女の後から来た男子陣も唖然と、否、呆れていたと言った方が正しいかもしれない。
ヒートアップしてきた言い合いに、それぞれの担当上忍が止めに入る。

「サークラ、その辺にしとけ」
「いのももう止めとけ」

しかし言い足りないのか二人はまだ言い合いを続ける。
だが忘れてはならない。ここが何処かという事を。そう、ここは受付所。もちろんこの二班以外に人はたくさんいる。つまりどういう事かというと、この二班は二人の言い合いによって注目をされていた。

「ったく、クソめんどくせぇ」
「あはは、元気だよね、二人とも」
「ちょ、ちょっと怖いってばよ…」
「…ふん」

同じ班の男子陣は止める気がないのか、その勢いに押されているのか、口をはさむ気はないようだった。
そこに、第三者の声がかかった。

「よう、元気だな、子供は」
「ゲンマか」

振り向くと、千本を銜えた忍―ゲンマがいた。

「悪いな騒がしくて」
「いやいや、元気があっていいんじゃねぇの」

そういうゲンマにまぁそうなんだけどなと思う二人。
しかしそろそろ本気で止めなければと思った時、言い合っている二人の声と同じくらいの大きな声が聞こえた。

「長!助けて下さい!」

パタパタとこちらの方に向かってきた人物を見ると、私服ともみれる恰好に『解』と背中に書かれた白衣を纏っていた。

「長?長ってやっぱり解部の長のことだよね?」
「だろうな。ま、俺は見たことねぇけど」

関係ないな、と思い視線を言い合う二人に戻した時、その解部の人間はシカマルへと抱きついた。
え、とそれに反応したのはシカマルに気があった下忍二人。

「お前何シカマルに抱きついてるんだってばよ!」
「そうだ、離れろウスラトンカチ」
「それは違うと思うよ、サスケ」

ナルトとサスケはぐいぐいと解部の人間をシカマルから離そうとする。

「ちょっと待てお前ら。落ちつけ」
「そーだよ。それにどういうことかな?シカマル君が長って」

突っかかっているナルトとサスケを解部の人間から離し、話しかける。

「どういう事も何も、そのままの意味ですよ。ね、長」

にっこりとシカマルに笑いかけると、シカマルはめんどくせぇと顔を背ける。

「ふ〜ん、まさかお前が解部の長だったとはな」

言ってゲンマがシカマルの頭を撫でると、シカマルはうっせぇとその手を払いのける。

「何だぁ?その態度はっ」

と、ゲンマは今度はシカマルへと抱きつく。

「重い、離れろ」

ピシャリと言い放つシカマルにゲンマは冷てぇなと笑う。

「おいおい、聞いてねぇぞシカマル」
「あ?何がだよアスマ」
「お前が解部の長だってこともゲンマと仲良いってことも」
「そりゃ言ってねぇからな。つか別に仲良くねぇよ」
「うわ、ひでぇなお前。昔はあんなに可愛かったのに…」
「だ・ま・れ」

どう見ても仲が良い二人。

「シカマル君って実は凄い子だったんだね…」
「あったりまえじゃないですか、ね、チョウジ」
「うん、シカマルだもんね」

いつの間にかサクラとの言い合いを終えていたいのが話に混ざる。
シカマルだからと納得する二人にさすが幼馴染、と思わずにはいられない。

「で、お前は何しに来たわけ?」
「あ、そうです、長。助けて下さい。先輩達が喧嘩してるんですよ!」
「はぁ…またあいつ等か?」
「はい…」
「ったく…しゃーねーなぁ」

シカマルは短く溜め息を吐き、ゲンマを押しのける。

「じゃ、俺はこれで」

簡潔にそれだけを言うとシカマルはその場を去って行く。
それにいのとチョウジだけが手を振り、他の者は急展開においてけぼり状態であった。
その後、度々『解』の文字が印刷された白衣を纏ったシカマルが目撃された。





(あ、いたいたシカマルー!今から任務よー)
(おー)
(シカマル大丈夫?寝不足じゃない?)
(大丈夫だよ、チョウジ)
(ちゃんと言いなさいよーシカマル!あんたはいっつも溜め込むんだから)
(おぅ、サンキューな)


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