短篇

□水の中、僕は彼の夢を見る
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 銀時は、新八の姿を求めて、船の中をさ迷う。


 間、攻撃してくる者は、皆、地に伏していた。


 瞳の端にちらりと見えた紅い着物。


 かまわず木刀を振り上げる。

 刹那、ふたりの間にひとりの少女が割って入り、高杉を守るように立ち塞がる。少女の手にはひとふりの刀。


 刃を向け、刀で応戦する少女の姿は次見た時には、少年の姿に転じていた。


 瞳が少年の姿を捉える。


 「新八」


 銀時の唇から名が零れる。


 「銀さん」


 聞きたかった声を聞いた。


 新八の瞳は、もう銀時を映すことはなく、ただ、己の愛しい男だけを見ていた。


「新八、そろそろ行くぞ。今日はここまでだ」


 言われた新八は、刀を納め、高杉の後を追う。


 もう、遅すぎたのだ。


 ふたりの道は分かたれてしまった。


 懐かしい時間はもう帰ってこない。


 銀色の鬼は、嘆くことしかできなかった。







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