Short Novel

□自傷行為依存症
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よく晴れた木曜日の6時限目は、屋上の貯水タンク裏。
よく晴れていない木曜日の6時限目は、視聴覚室の掃除用具入れ隣。


俺の大好きな場所。




キーンコーンカーンコーン...


慈「ふぁ...。」


俺は授業終了のチャイムで目を覚ました。
自分で言うのもなんだけど、いつもはこんなこと絶対ない。
だけどこの時間だけは、必ず目が覚めてしまう。


そう...今日は木曜日。
そして次は、大好きな大好きな6時限目だ。


ガタッとゆっくり立ち上がり、いつもの場所に向かう。


慈「(あー...今日は晴れてるから屋上だぁ...。)」


俺はノロノロと屋上へ向かい始めた。


ガチャッ。
キーンコーンカーンコーン..


屋上へ着くとちょうど、6時限目の始業を知らせるチャイムがなった。
そんなことお構いなしに、気持ちのいい柔らかな空気を胸いっぱいに吸い込む。


慈「ふぅ!」


一気に空気を吐き出せば、体が軽くなった気がした。
その軽い足取りのまま、貯水タンク裏に向かう。
ストンと腰を下ろして、貯水タンクに背中を預けた。


カチカチカチ...
虚ろな目でポケットから取り出したのはカッターナイフ。
血で所々錆び付いている。


慈「ハハッ...。」


このカッターを見ていると、無意識に笑みがこぼれる。
俺は、カッターを手首にあてがった。
そして、ゆっくりゆっくり引いていく。


サクッ、ツゥー...


切った手首から、プツプツと玉の様な血が溢れてきた。



 
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