詩集-みんなのうた-七月号(上巻)

□らぶぁ〜☆彡さん
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「満月の下で‥」



砂浜の長
ヤドカリ爺さんが
貝殻帽子を脱いで家族達を集め、空を見上げて静かに語り始めるその頃に‥

砂丘砂漠の長老
ラクダの長が立ち上がり空に向かって何やら呪文を唱える様な唇で静かに語り始めた

去年秋に生まれた、
最年少の子牛達が瞳を輝かせて大人の群れを小走りに尋ねて廻る。

ねぇ、今夜は誰が来るというの?サンタクロースのおじいさん?
かぐや姫のお姉さん?

語り終えたヤドカリが両手を組んだ。
空を見上げたラクダがコホン、コホンと咳をした。牛の群れ達が一斉にモーゥ!と声を揃えたその瞬間

満月の裾‥
オーロラの滝が溢れる路が開かれた

その中央から今宵の為の真っ青な幕

天の川‥

天地万物の誰もが目を細めて見守る夜に

手と手を取り合う
二つの頭がひとつに重なるのを歓喜する影

踊り乱れて祝福の花火と化しては消えゆく
流れ星達の鮮やかな艶やかな光ファイバ-

今宵ばかりは
いつまでも眠らない織姫と彦星のひとつの影

年に一度の幸福な夜
年に一度の逢瀬の宴

今夜しかない
ひと夜限りの七夕祭り
 

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