短編2

□ウルキオラが待たせる
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私は




いつからか気づいたときには破面という存在で、その破面の中でもぺーぺーの私とは真逆に彼は十刃という選ばれた存在。本来私なんて、彼のそばにいられるはずもないのに、何故か偶然に偶然が重なって私は彼のお付きに。そして、そこからまた限りなく無に等しいほどの小さな小さな偶然が重なり、私は彼に気に入られる、という偶然にまでたどり着いてしまった。



彼、こと、ウルキオラ・シファーは私にとっての全てになり、彼に言われれば、私は死ぬこともできると思っている。仮に私が死ぬとして、藍染様に殺されるというシチュエーションはとてつもなく恐ろしく、想像しただけでも足が震える。しかし、彼に殺されることを考えると、むしろそんな終わりかた、一種の幸せなんじゃないかなんて、考えてしまうのだ。



ここまでを見ると、彼はお気に入りであるはずの私に対してとても冷徹に見えるが、実際はそんなことはない。自意識過剰だとか、呆れられるかもしれないが、彼はいつも私のことを優しい目でみてくれる。先ほどは殺されるだなんだ言っていたが、私は彼に殺されるような素振りを向けられたことは一度もない。むしろいつだって、私のことを守ってくれた。本当なら捨て駒として、いつだって藍染様から死神と戦ったり、現世に行くように命令があってもよかったものを、私は一度もそんな命令をされなかった。いつだって、彼のことを待っているだけだった。



だからだろうか
自分をつくってくれた藍染様より
こんな弱い私にも声をかけてくださる市丸様より東仙様より
彼が私の中で一番になったのは



私は弱くて
破面なのに守られてばかりで
彼の言うことを聞くぐらいしか、脳がなくて役たたずで





「俺は、黒崎一護のところにいく」



「お前は、全てが終わるまでここにいろ」



「全てが終わったら、必ず迎えにくる」





こんなことを言われて素直にそれを聞くなんて
馬鹿だなあ。弱くても彼のところにいってれば、彼とずっと一緒で終われたのに。





私が彼を待っていた場所からでたときには、もう誰もいなくて
ただ、空虚がそこにあって



藍染様も
市丸様も
東仙様も
破面の皆も
十刃の皆も


彼も




私は誰より弱いのに
最後まで生き残っているはずがなかったのに


どうして私は、ここにいるのだろう
そんなこと、誰もが疑問に思うことだろうけれど
答えなんて、たった一つしかない




「まだ、かなあ」



だって、彼が迎えに来るといったから
ここで待ってろと、いったから。



私には何も力がない。考えられる頭も、特別な何かもない。そんな私にも、できることなんて、それくらいしかないから


「…寒い、な」



わたし、ずっとまってるから。
誰もいなくても、来なくても、それでもずっと。



「……遅いよ、ウルキオラ」





いつか冷えきったあなたを私が抱きしめてあげられるように
永遠の時を、ここで。









 

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