Birthstone
□ウォーター・ウォーン
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一日中降り続いていた雨も
夕方には嘘のように晴れて
東の彼方に向かう
層に重なる雲に光が当たり
それはまるで
一枚の絵画ようで神秘的だった
「たまには、いいかもね」
こうして、歩いて帰るのも
今はもう、通ることがない道を、ひとり懐かしさに浸りながら脚を進めていく。
日に、三年ぶりだろうか。
中学から高校に進学し、かつての通学路も今はもう通ることもなくなった。
だから、懐かしさに心踊るんだ。
「‥…―、」
道路沿い、川の向こう側に一本の桜の木があった。時期とすれば、もうとっくに桜の季節は過ぎていて、それでもその桜は今が満開のように咲き誇り、雨だったせいか、川の水は濁っていてお世辞にも綺麗とは言えないが、雨の後の桜はとても綺麗だった。
遅咲き桜、か
ふと彼がいった言葉を思い出す。
時の流れ
彼のことが好きだったんだなぁ、
むかし懐かしい恋心