Birthstone
□チェーン
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ねぇ、どうして…‥?
大切なモノほど失っていく
どんなに、願っても
どんなに、望んでも
どんなに、祈っても
それを嘲笑うかのように
私からみんな消えていく―…‥
眼を背けたかった
いま起きたことから
認めたくなかった
彼がいい放った言葉を
逃げ出したかった
なにもかも否定して
でも、それができないのは
「もう失うのが恐いの。一つ失うとまた一つ、一つ。消えていく。もう何も、失いたくないのに。
‥―だから私は」
彼まで、私は失ってしまった
後ろに退く身体を支えるように肩を抱かれる。眼を背けたいのに、逃げ出したいのに、それをできない私はただ立つしかなかった。
「だから、失うくらいなら自分から捨てるの?」
俺のことも、全部。初めからなかったことにするのかい?
「―っ。私は…‥わ、たしは」
どうしたらいいの?
最愛の彼まで失ってしまった私はもう貴方しかいない。
貴方まで失ったら私は―…‥。
「大丈夫。俺は彼みたいに、君を置いて死んだりしないよ」
背中から前へゆっくり、ゆっくりと回される腕。まるで、壊れ物を扱うかのようにひどく優しい。
その優しさに、
私はいつも‥…、縋りたくなる
甘美なる束縛
奪われた女の
奪った男に対する答え